「陰謀論を信じ込む人」の理解しがたい思考回路

自分の見える世界を見たい世界に塗り替える

陰謀論を簡単に信じ込んでしまう人もいるが、世の中で発信される情報の正否を自分自身ができていると言えるだろうか(写真:Marisa9/iStock)

陰謀論にはまり込んで信奉してしまう人は、どのような思考回路を持っているのだろう。まず、つじつまがまったく合わない矛盾した話を、同時に信じ込むという特徴がある。

自分の都合のいいように物事の認識を歪めてしまうズルい矛盾や、自己正当化は、多くの人の心のなかで起きることだが、イギリス・ケント大学の心理学者らによる2011年の研究によれば、もっと驚くべき矛盾を簡単に信じる現象が示されている。

話のつじつまは関係なし。ベースは「権力への不信感」

「オサマ・ビンラディンはアメリカ軍の急襲によって殺害された」というアメリカ政府の公式説明をどの程度支持するかを大学生たちに評定させたところ、政府の公式説明を疑問視し、「襲撃時にはすでにビンラディンは死んでいたのではないか」と考える人たちは、なんと同時に「ビンラディンはまだどこかで生きている」と正反対の主張をする傾向がほかの人よりも高かったという。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

また、ダイアナ妃の死に関する質問でも、「ダイアナ妃と同じ車に乗って死亡したドディ・アルファイド氏の商売敵が、2人の殺害を企んだ」という考えを持っている人たちは、同時に「ダイアナ妃は自らの死を偽装しており、まだどこかで生きている」というこれまた矛盾した考えも持っている傾向が高かったらしい。

つまり、人が陰謀論を信じるのは、その陰謀の「筋書の信憑性」によるのではなく、「陰謀論めいた考え方」そのものを支えたいという、もっと深い思い込みを抱いているためだというのだ。そして、こういった観念を生む大きな要因の1つは、「権威や権力に対する強い不信感」とされている。

私に「地震兵器で311の大震災は引き起こされた」と迫ってきた女性は、政府の説明も、専門家による解説も、マスメディアによる報道も信じていない。しかし、なんの根拠もなく誰が発信しているのかもわからないネットの情報は信じ込み、そして、つじつまの合わない話を堂々と語っていた。

「ボストンマラソンテロは、すべて舞台装置と役者による演技だ」と言っていた男性は、アメリカの自作自演であり、報道はすべてウソだと言いながら、8歳の男児が犠牲になったという報道だけは信じて「許しがたい」と言って批判しはじめる。つまり、事実がなんであれ、アメリカという国に対する不信感を持ち、ケチをつけられればよかったということなのだ。

次ページ陰謀論を信じ込む人の問題点とは
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 森口将之の自動車デザイン考
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ストロング系チューハイの光と影
ストロング系チューハイの光と影
「電話嫌いの若者」が急に増えた意外すぎる理由
「電話嫌いの若者」が急に増えた意外すぎる理由
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「未来を知る」ための読書案内<br>ベストブック2021

先を見通せない日々が続きますが、本を開けばアフターコロナ時代のヒントがあふれています。本特集では、有識者や経営者、書店員らが推薦した200冊を掲載。推薦数の多い順にランキングしました。あなたにとっての珠玉の1冊を探してみてください。

東洋経済education×ICT