1日30回の授乳した日も「多胎児子育て」の苦悩

誰に助けを求めていいのかわからない時も

茜さんは現在仕事に復帰し、双子は1歳を迎えました。

生活も少しずつ落ち着き、茜さんは「日々成長する子どもたちの笑顔や仕草は大きな喜び。自分も成長できたし、夫婦の絆も強くしてくれたと感じます。2人がいない人生はもう考えられない。どんなことをしても守っていきたいです」と、笑顔で話します。

ただ、これまでの子育てを振り返り、豊田市の事件についてはこう語りました。「私も、誰に助けを求めていいのか分からない時がありました。自分は1歳まで無事育てられたけど、(豊田市の三つ子の事件を聞いて)自分もそうなっていたかもしれない、と思わずにいられません」

妊娠期から続く心身の不調に、相次ぐ授乳による寝不足。うまくいかない育児への焦り。相談したくても、手助けを求めたくても、どうしたらいいのか分からない。幅の広いベビーカーは通れない場所も多く、外出もとても勇気がいる。茜さんは、そういった様々なことの積み重ねが、多胎児の育児で親を追い詰めてしまうと感じています。

「安全に子どもを産んで育てるって、簡単なことじゃない。もっと双子や三つ子の育児の大変さが理解され、支援が充実してほしいと思います」

上の子をケアできない…思い共有で前を向く

茜さんは双子が初めての子どもでしたが、2人目3人目などの出産でも、また別の悩みがあるようです。

中学1年生の長男と、小学4年生の双子の次男・三男を育てている埼玉県の母親は「上の子に我慢をさせているのがつらかった」と双子が生まれたばかりの時期を振り返ります。

「双子には、生まれるまで分からない大変さがあります。物理的に、大人の数が足りない。手があと2本くらい欲しいとずっと思っていました」

長男を育てた経験があっても双子育児の大変さに翻弄され、心身ともに余裕がなくなり、1日を終えるのに必死だったそうです。

双子にかかりきりになってしまうため、長男に手が回らず、3歳で遊びたい盛りだった長男の相手が難しかった上、長男が騒いでしまうと双子が起きてしまうのでピリピリしていたと言います。

「長男が凄く我慢しているのがこっちも分かるけど、ケアができませんでした。同じ思いをしてる人がいると知るだけで少し頑張れるので、そういう場が大切だと思います」と話し、現在は子育て支援員として多胎児を育てる家庭の支援をしているそうです。

今回は双子を育てる2つの家庭にお話を聞きました。みなさんはどう感じましたか?

具体的な話を聞くと、お母さんたちの切実な訴えが胸に響きます。

2人のお母さんが共通して話していたのは、同じ思いを持つ仲間と話すことの大切さと、多胎家庭に対する支援の必要性です。

(取材・文/小西和香)

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