1日30回の授乳した日も「多胎児子育て」の苦悩

誰に助けを求めていいのかわからない時も

茜さんの妊娠が分かったのは2017年の冬。その後2回目の診察で双子だと知らされました。

その際レディースクリニックでは、新生児集中治療室(NICU)がある病院を探して出産しなければならないことなどを説明され、「普通の妊婦とは違うから。仕事は続けますか?覚悟を持ってね」と告げられます。

妊娠を喜ぶ気持ちから一転して不安が押し寄せ、スマートフォンで双子の妊娠について検索。多胎妊娠は母体や胎児にトラブルが起きる可能性も少なくないことを知りました。

「妊娠したのは嬉しいけど、素直に喜んでいいのか分からない。これからどうなるんだろう。未知すぎて想像できない」

それが率直な気持ちでした。さらに、妊娠中も順調な経過とはいきません。

むくみがひどく体重もかなり増えてしまったことなどから、妊婦健診では「なるべく動かないで」と言われます。安定期に入っても安静にするほかなく、自分のやりたいことはほとんどできない日々。コンサルティング会社を経営する夫の公一さんも仕事をセーブして支えますが、茜さんは「思っていたマタニティライフと全然違う。動けないのは本当につらかったです」と振り返ります。

始まった育児、ママ友の言葉に救われる

18年7月下旬、突然破水して2人の女の子を帝王切開で出産。2858グラムで生まれた長女は元気がよかった一方、次女は2214グラムと小さめで、たまに呼吸が止まることもあったため口にチューブを入れるなどの処置を受けました。

茜さんは1週間ほどで退院しましたが、双子はその後も1週間ほど入院。毎日病院に通う中、「私がもっと動かずにいたら、もう少し大きくなってから産んであげられたのかもしれない」と申し訳なさがつのったといいます。

双子が退院してからは、休みのない育児が始まりました。

授乳はそれぞれ3時間ごとですが、母乳の出が悪かったこともあって1人につき30分は授乳、その後ミルクを足していました。結果として1時間ずつかかり、終わったら次の授乳まで1時間しかないという日が続きます。「小さく生んでしまったから、強く育てたい」と思っていたため母乳にこだわり、1人につき15回、計30回ほど授乳をした日もありました。

ほとんど寝る時間はなく、心身ともに疲れ果てて「寝ない方がいい」と思っていたのもこの時です。茜さんの母親や公一さんもサポートしますが、茜さんは「子どものことは自分がやらなきゃいけない」と感じていて追い詰められていきます。

救われたのは、同じく双子を育てている看護師のママ友との会話がきっかけでした。

母乳の出が悪いことを相談したら「ミルクを使っていいんだよ。その方が寝てくれるし、発育にもいいよ」とアドバイスされ、考えが変わります。母乳の出が悪いので授乳の回数が増え、睡眠不足によってさらに母乳が出なくなるという悪循環に陥っていた茜さん。ミルクの量を増やしたところ、少し育児に余裕ができました。

2人が泣き止まないことに悩み自己嫌悪に陥っていた時なども、ママ友に助言をもらうことで気持ちが軽くなり、経験者と話すことの大切さに気付いたそうです。徐々にインターネットには間違ったことや偏ったことも書かれていると感じるようになり、SNSも周囲のキラキラした投稿を見て落ち込んでしまうのでやめました。

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