「パスポート」の取得費用が1万6千円かかるなぜ

海外旅行が身近になる今、この手数料は適正か

5年有効と10年有効を選べるようになっている。ただし、10年有効は20歳以上のみで、未成年は5年有効となる。5年有効は12歳以上か未満で料金に差がある。また、この表により手数料のうち2000円が実際に窓口手続きをしている自治体の手数料でその他が国の手数料(収入印紙代)であることがわかる。

もし家族旅行で全員がパスポートを取るとしたらいくらになるか。夫婦と成人の大学生の子ども2人で全員10年有効パスポートを取ると6万4000円になる。夫婦と12歳以上の子ども2人で全員5年有効パスポートだと4万4000円、夫婦と12歳未満の子ども2人で全員5年有効パスポートだと3万4000円だ。

なぜパスポートの手数料はこのような値段になっているのか? また、10年有効と5年有効で5000円の差があるのはなぜか。有効期間が長い分、国民にメリットがあるのは事実だが、発行費用は同じのはずだからだ。

行政レビューで内訳は見えるようになっている

行政事業レビューという言葉をご存じだろうか。民主党(当時)政権の頃、「事業仕分け」が話題になったが、自公政権になって行われているもので、各省庁が各事業について事業の自己点検を外部有識者を交えて行い、各省庁が公表した行政事業レビューを内閣官房行政改革推進本部で点検の内容・結果の妥当性を検証する制度だ。実はパスポート発行事業についてもこれが行われており、手数料の内訳や課題が明らかにされている。

2016年11月12日にパスポート発行業務について行革推進本部で外務省の行政事業レビューの検証が行われた。会議には参考人としてエイチ・アイ・エス代表取締役会長兼社長(CEO)の澤田秀雄氏、日本・エストニア/EUデジタルソサエティ推進協議会代表理事前田陽二氏の2人が出席した。

そこで、外務省は10年有効パスポートの手数料1万6000円のうち、自治体の手数料2000円を引いた1万4000円の内訳は、4000円が冊子作成やシステム開発費などの直接行政経費で、残りの1万円は在外公館での邦人保護活動などの間接行政経費と説明し、この1万円は1年当たり1000円として計算されたものであるとした。5年有効パスポートが5000円安い1万1000円であるのは、この間接経費が5年分の5000円安いためだということだ。

【パスポート手数料内訳】
●10 年有効パスポート発給
(国の直接行政経費) 4000 円
(国の間接行政経費) 10000 円(1000 円/年×10 年)
(都道府県の経費) 2000 円
合計 16000 円
●5 年有効パスポート発給
(国の直接行政経費) 4000 円
(国の間接行政経費) 5000 円(1000 円/年×5 年)
(都道府県の経費) 2000 円
合計 11000 円

前出の澤田氏は、手数料を値下げし手続きの煩雑さを解消すれば、取得率が高まって結果的に1冊当たりのコストが下がるとの考えを示した。また、前田氏は電子政府化が進んでいるエストニアを例として、マイナンバーカードと戸籍情報を連携し活用することでコストや手間を削減できると提案した。

公認会計士や大学教員を中心とした有識者(評価者)からは、邦人援護費用をパスポート取得者のみに支払わせる受益者負担の妥当性への疑問や、コスト削減の取り組み不足などの意見が出され、政府に対し、どんな費用がかかっているのか国民に情報を公開するよう求めるとともに、マイナンバー制度を活用した手続きの効率化を検討し、コスト削減に努力するよう要請した。

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