米軍が恐れた「カメジロー」を再び題材にした訳 佐古忠彦監督が瀬長亀次郎を通して見た沖縄

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TBSのプロデューサーでもある、佐古忠彦監督が沖縄の政治家・瀬長亀次郎のドキュメンタリーをつくった理由とは (撮影:尾形文繁)
前作『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名はカメジロー』で“カメジロー”ブームを巻き起こした、佐古忠彦監督の第2弾、『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』が話題を呼んでいる。
「カメジロー」とは、戦後日本の独立後も長く米軍占領下にあった沖縄で、県民とともに不条理な米軍支配と闘った政治家・瀬長亀次郎をいう。2017年に公開された前作では、カメジローが那覇市長となるものの米軍によって追放されはするが、不屈の精神で「基地のない沖縄」を取り戻すために闘う姿を描いたドキュメンタリー。新作はその続編にあたる。
「沖縄での先行上映は2年前と同じく、整理券を発行するほどの大行列が劇場前にできました。亀次郎さんが求められているんだなぁとしっかり感じました」と佐古監督。東京・渋谷ユーロスペースでの上映も初日満席で始まった、佐古監督をインタビューした。

沖縄の映画館では行列ができるほどの人気

──新作『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』でインパクトがあるのは1972年、沖縄返還をめぐる国会論戦です。佐藤栄作首相(当時)を相手に、瀬長亀次郎がトツトツと、決して流暢なしゃべりと言えないけれども、聞くものを引きつける話し方をされています。

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今の政治家はしゃにむに攻め立てるタイプが多いのに対して、理詰めで、佐藤首相も瀬長さんの話をじっと聞いている。ふたりのやり取りに見入ってしまいました。映画の中では10分以上、当時のニュース映像を使われていると思いますが、これが長いと感じることなく、まだ見ていたいと思わせるんですね。

あれは12分くらいでしたね。1971年12月4日の衆議院沖縄北方問題特別委員会で、亀次郎さんが質疑に立ったときの一部、議事録では1時間以上あったものです。それがなぜ12分かというと、うち(TBS)に残されていた素材がほぼあの形だったんです。

当時の福田赳夫外務大臣や江崎真澄防衛庁長官など関連閣僚が入れ替わり立ち代り質問に答え、答えをはぐらかそうとするものもある中で、亀次郎さんのボルテージが上がり、「では、佐藤総理に」と質問したのが、あのやり取りなんです。

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