ミント味「冷えてないのにひんやり」する理由

熱・冷・痛を感じる「感覚センサー」知ってる?

機能と快適の両立を最大化

それは、マンダムが「人間系企業」を掲げ、人の感覚に基づく印象や評価にこだわりを持ってきた影響だという。

同社は、美容部員による対面販売ではなく、ドラッグストアやコンビニなど、誰もが簡単に買うことができるセルフ販売による化粧品をメインで扱ってきた。だからこそ、「安全、機能、快適」というトレードオフの関係にある3つを同時に実現しなければ、真の満足は提供できないと考えているのだ。

それは、マンダムが「人間系企業」を掲げ、人の感覚に基づく印象や評価にこだわりを持ってきた影響だという。

同社は、美容部員による対面販売ではなく、ドラッグストアやコンビニなど、誰もが簡単に買うことができるセルフ販売による化粧品をメインで扱ってきた。だからこそ、「安全、機能、快適」というトレードオフの関係にある3つを同時に実現しなければ、真の満足は提供できないと考えているのだ。

機能と快適の両立を最大化

「トリップチャネル研究を進めるうちに、ヘアカラーに含まれる『アルカリ成分』が不快な刺激を引き起こしていることがわかりました。ですが、『アルカリ成分』は脱色と染色に欠かせないヘアカラーには必須の成分です。そこで、アルカリの刺激を抑制する成分を探索し、ヘアカラーに『炭酸イオン』を配合することで不快な刺激を低減することに成功したのです」(高石氏)

化粧品に伴うほかの痛みについてもメカニズムが解明されている。「シャンプーやクレンジングが目に入って染みることがありますよね。毎回目に入るということはないと思いますが、セルフ化粧品は、つねにそうした可能性も考慮して安全性を考えています。実は、この目刺激もトリップチャネルが活性化して痛みを感じていることがわかっています。どういう成分であれば刺激が少ないのか。トリップチャネルで評価分析を行って、目刺激の少ない組み合わせを実現しています」(高石氏)

そのほかにもマンダムでは、暑い夏に大活躍する汗拭きシートにトリップチャネルの研究成果を応用。快適な清涼感を得られるユーカリ由来成分のユーカリプトールとイソボルニルオキシエタノールを配合するなど、機能性と快適性を両立した製品づくりを実現させている。

世界的に注目を集めるトリップチャネル研究

こうしたマンダムのトリップチャネル研究を当初から支えているのが、自然科学研究機構・生命創成探究センター・教授の富永真琴氏だ。

自然科学研究機構
生命創成探究センター
生理学研究所 細胞生理研究部門
総合研究大学院大学 生理科学専攻 教授
富永真琴

富永氏は、トリップチャネル研究の権威であるカリフォルニア大学教授のデイヴィッド・ジュリアス氏のチームに日本から唯一参画していた研究者だ。

デイヴィッド・ジュリアス教授は、2014年に「トムソン・ロイター引用栄誉賞(現クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞)」を受賞している。

「同賞は論文の引用回数、重要度からノーベル賞クラスと目される研究者を発表するものです。実際トリップチャネルは、毎年のようにノーベル賞発表前に注目される研究の1つになっています。今年は『2020年生命科学ブレークスルー賞』も受賞しており、世界的に大きな功績を残す偉業として認識、注目されています。

1997年、私たちが初めてカプサイシン受容体を痛みの受容体として発見し、『TRPV1(トリップブイワン)』と名付けられ、これが温度センサーであることが明らかになりました。その後、9つのトリップチャネルが温度受容体であることがわかり、温度を感じる仕組みの解明が進んできたのです」(富永氏)

さらに、トリップチャネルは温度センサーであるだけでなく、視覚や味覚、痛みや酸など、外部からの複数の刺激によって活性化されること、内臓の働きを感知するセンサーとして働くことなども明らかになってきているという。

「『TRPV1』『TRPA1』が活性化すると痛みを感じます。そこで、痛みを起こさないように両チャネルを活性化する物質を排除するというような使い方の研究も進められています。私は、もともと臨床医なので、トリップチャネルの研究を何か世の中の人々に役立てたいと考えています。

トリップチャネル研究は、痛みセンサーの発見から始まったため、最初にトリップチャネルに注目したのは、この研究を鎮痛剤の開発に応用しようと考えた製薬会社でした。一方、化粧品メーカーは製薬会社と違って、動物実験ができません。細胞を用いた代替実験とヒトで行う実験との間には、本来何段階ものステップを踏んで安全性情報を広く収集する必要があります。

その代替法として、化粧品メーカーに先駆けてマンダムが、トリップチャネルを活用して十分な安全性を確保したうえで、人が実際にその製品を使う場面でも問題がないことを確認する実使用評価に応用したり、人の心地よさの追求に活用しているということは、すばらしいことだと思います」

こう評価する富永氏と、マンダムの共同研究は今も続いている。「何らかの形で世の中に還元したい」という富永氏の強い思いとともに、これからもマンダムはトリップチャネル研究のリーディングカンパニーとして「安全、機能、快適」な製品開発を続けていく。

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