車上荒らしの窃盗犯が語る「狙いたくなる車」

犯罪者の視点から見えてくる防犯対策

人の目があるから車上荒らしに遭いにくいという認識は違うという(写真:Lorado/iStock)

「助手席や後部座席の上、座席の足元に隠したように置かれた荷物があれば狙う。人通りが多い駐車場所も、盗まれないと安心しているので逆に狙い目」

貴重品があるか、車内を見れば一瞬で分かる

2019年、パチンコ店駐車場で車から現金15万円を盗んだとして窃盗容疑で福井県警に逮捕、起訴された68歳の男は福井新聞記者の面会に応じ、こう答えた。ロックされた車でも特殊な道具で簡単に解錠する。その間10秒に満たない。2018年、福井県内では277件の車上狙いがあった。「被害を防ぐにはとにかく車内に荷物を置かないこと」―。男は犯罪者の視点で語った。

「貴重品があるか、プロは車内を見れば一瞬で分かる。被害に遭ったことのない人は、必ず荷物を服や物で隠そうとする。そういう荷物を感じたら盗みたくなる。しめたな、という感じ」

男はこう切り出し「人通りが多いと車上狙いに遭わないだろうと安心している。逆に荷物が置いてある」と続けた。

探すのは電子キーではない軽乗用車。うろついて物色し、目星を付けた後はいったん離れて遠巻きに人の流れや防犯カメラの位置を観察する。針金で手作りした道具とバールを用意。傷が付かないようドアの隙間に軽くバールを差し込み、道具を使って「5~10秒くらいでポンッと鍵を開ける」という。

現金を盗んだ後は、かばんなどを元の位置に戻し鍵を掛けて現場を去る。「現金を抜いた後は荷物を元通りにするので、被害に気付いていない人もいるはずだ」。犯行時間はやはり夜が多い。人相が分かりにくく、暗闇に紛れて逃げやすいからだ。

32歳の頃に自転車を数台盗んで質に入れ逮捕されて以降、車上狙いに手を染めるようになった。30年以上にわたって全国で重ねた犯行は「200件以上」という。

福井地裁は今月、パチンコ店駐車場で現金15万円を盗んだ犯行について「盗み癖はいまだ顕著といわざるを得ない」として、男に懲役2年の実刑判決を言い渡した。 

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