ミニストップ「おにぎり100円」へ値下げのわけ リスクと背中合わせ、異例のゲリラ値下げ

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苦しい販売状況を映し、ミニストップの業績も低迷している。前2019年2月期は、売上高にあたる営業総収入が2053億円と前期比0.8%減少。営業損益は5.5億円の赤字に転落した(前期は0.1億円の黒字)。日本での売り上げが伸び悩んだうえに、ベトナム事業の不振が響いた。

大手3社を含め、コンビニ業界は客数の減少を客単価の上昇で補う状況が続く。業界トップのセブンは2019年2月期において、既存店客数が前期比0.6%減少した分を客単価の1.9%上昇で埋め合わせた。ただ、ミニストップの2019年2月期は既存店客単価が0.9%上昇したものの、平均客数が2.7%減少。客数の落ち込みが大きく、客単価上昇でカバーできなかった。

おにぎり値下げ戦略に競合他社は否定的

こうした状況を打破するために、ミニストップが打ち出したのが「おにぎり100円」戦略だ。基本商品であるおにぎりを常時100円とすることで集客を図り、サラダや揚げ物、飲み物などをあわせて購入してもらう狙いがある。

今年4月から青森県でおにぎり100円の値下げ実験を行ったところ、対象のおにぎりの販売個数は約2倍まで拡大。この結果を受けて、今回値下げを全店まで広げた。

このミニストップの販促手法について、競合他社は「おにぎりを期間限定で100円に値下げすることはあるが、それは本部にとって積極的に採用しにくい施策だ」と口をそろえる。

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