小学校の「プログラミング教育」は何をすべきか 村田製作所「せんせいロボット」の教育効果

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必修化の前年となる今年に入り、多くの学校や教育委員会はプログラミングに関するノウハウを持つ企業に対し、「出前授業」という形で協力を仰いでいる。村田製作所は2006年から、ロボットに入っている部品の仕組みなどを知ってもらうための出前授業を年100校に対して行ってきた。

村田製作所のプログラミング授業はとてもユニークだ。多くの企業が提供するプログラミングの出前授業は、画面上で「前に進め」のようなシンプルなコマンドを選択し、実際に映像やロボットを操作することが多い。それに対し、村田製作所では人間をロボット役にして、子どもたちが彼らにタブレットを通じて指令を出す。

子どもたちの指示通りにロボット社員が動く

まず、段ボール製の「ロボット」を村田製作所の社員がかぶり、スマホを設置する。子どもたちは手元にあるタブレットで「前に進め」「右を向け」といった複数の指示を、順番を決めて出す。ロボット役の社員はスマホを見て、子どもたちの指示通りに動く。

段ボール箱を指定された位置に運べて、子どもたちからは歓声があがる(撮影:ヒラオカスタジオ)

ロボット役は、3歩先に障害物があっても指示通りに動かなくてはならない。進む回数を誤ったり、間違った方向を指示したりすると、ロボット役は障害物にぶつかってしまう。

ロボットに腕立て伏せをさせるなら、「うでを90°上げる」「ひざ立ちをする」「こしを90°曲げる」「ひざをのばす」「ひじを曲げる」「ひじをのばす」といったコマンドを、順序よく組み立てる必要がある。指示を1つ間違うだけで、ロボット役の社員が無理な体勢を強いられることも起きる。

本物のロボットではなく、ロボット役の人間にこだわったのは、その方が子どもたちが深く考えるきっかけになると考えたからだ。

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