ハワイで賛否両論、「ホノルル鉄道」が来年開業 現地では電車の利便性を知らない人も多い

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「通勤、通学、買い物の足として大きな需要が期待できる」と、運行を担う「ホノルル高速鉄道公社(HART)」のアンドリュー・ロビンスCEOは力説する。

日本人観光客にとっても鉄道開業のメリットは大きい。空港─アラモアナセンター間の所要時間はわずか16分。自動車よりも格段に早く、何より時間が正確だ。

アラモアナセンター近くのホテル「プリンス・ワイキキ」を運営する西武ホールディングスの後藤高志社長は、2017年4月にホノルル市長と面談し、「鉄道運行や駅・沿線開発に関するノウハウの提供などで、お役に立てることがあれば協力したい」と発言、「資金は出せない」としつつも、鉄道プロジェクトとの連携に関心を示す。

2020年末に開業するのは西側のイーストカポレイ─アロハスタジアム間。残る東側について、ロビンスCEOは「アロハスタジアム─ミドルストリート間は線路工事の半分程度が終わっており、2022年中には完成する」と話す。さらにその東側のミドルストリート─アラモアナセンター間は「資材調達など着工の準備段階。工事はまだ始まっていない」という。計画では2025年に全線開業となっているが、はたして間に合うか。

車両や運行管理は日立

7月上旬、イーストカポレイから5駅先にあるリーワード・コミュニティ・カレッジ駅のそばにある鉄道車両基地を訪ねると、軽やかなモーター音を響かせながら、4両編成の列車が目の前を通り過ぎた。この車両を造ったのは日立製作所。日立は運営を担うHARTから運行管理や保守業務も受託している。

正確に言うと、イタリアの大手鉄道車両メーカーのアンサルドブレダと信号メーカーのアンサルドSTS社が本計画の車両製造、運行管理、保守業務を受注。それら2社を日立が2015年に買収したのだ。日立のシンボル「日立の樹」があるモアナルアガーデンがこの鉄道の沿線にあることも、日立とハワイの縁を感じさせる。

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