あおぞら銀「メガでも地銀でもない」戦略のわけ ネット銀設立、地銀支援や不良債権ビジネスも

拡大
縮小

――7月16日にインターネット支店「BANK支店」を開設しました。狙いは何ですか。

顧客層の拡大だ。あおぞら銀行の顧客は50代以上が8割。もう少し若い世代にアプローチしないと尻すぼみになる。BANK支店には7月末時点で4000口座の申し込みがあった。30〜50代が中心で、期待していた新しい顧客層を獲得できた。

普通預金に業界ナンバーワンの年0.2%という金利をつけ、定期預金と同じような金利水準にした。支払い時にデビットカードを利用すれば、最大1%のキャッシュバックを受けられる。この層の人たちは忙しい人が多く、定期預金にいくらを入れるか、どの決済方法をとるかを考える必要のないサービスを作った。余ったお金をとりあえずBANK支店に入れておけばいい。

GMOと組んだことは大きな強みになった

――年0.2%という金利は、メガバンクの普通預金金利の200倍に当たります。

ある程度思い切った水準でないと目立たない。この収益環境でも可能なのは、当社の経費率が低いからだ。多くの銀行の経費率は60~70%程度だが、あおぞら銀行の経費率は52.8%(2019年度第1四半期時点)。他の経費を削れば、預金金利を多少上乗せできる。

馬場信輔(ばば・しんすけ)/1954年生まれ。1977年東京大学経済学部卒業。同年、旧日本債券信用銀行入行。法人営業本部長、投資銀行本部長などを経て、2012年9月から現職(撮影:佐々木仁)

――2018年7月に開業したGMOあおぞらネット銀行と、どのように棲み分けますか。

こちらは法人向けの決済ビジネスが中心だ。個人向けでBANK支店と重なる部分もあるが、始まったばかりのビジネスなので多少の重複は問題ない。

GMOあおぞらネット銀行は従来のネット銀行のように高い金利で預金を集めて、住宅ローンなどで貸し出し、利ざやで儲けるモデルではない。決済の際の入出金の手数料で稼ぐ。口座が増え、(入出金の)利用が増えれば収益が増える。どれだけ早く口座数を積み上げられるかだが、2021年度には黒字化できるだろう。今が踏ん張りどころだ。

GMOと組んだことは非常に大きな強みになっている。2019年5月にはH.I.Sと業務提携し、銀行代理業務をしてもらうが、これはGMOのネットワークがあったからこそ実現した。

(GMOあおぞらネット銀行は)テクノロジーへの対応力もある。決済データを活用するために外部アプリと連携をする際、顧客の相談に乗ったり、開発をしたりできる。その分拡大には時間がかかっているが、決済口座1つとっても、顧客ごとにカスタムメイドで提供できる。

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