架線あるのに…「電車に乗れない」電化区間10選 走るのはディーゼル車ばかりでもったいない

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2)えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン

北陸新幹線開業とともに発足した第三セクター鉄道で、旧北陸本線の市振―直江津間は日本海ひすいラインとなった。

全線電化区間であるが、糸魚川駅と梶屋敷駅間に交流直流を切り替える「デッドセクション」があることから交直両用の電車が必要である。輸送密度の低い区間であることから、原則としてディーゼルカー1両による運転になった。

なお、列車は市振から西へあいの風とやま鉄道に乗り入れて富山県の泊駅まで運転される。また、わずかではあるが、あいの風とやま鉄道の電車が糸魚川駅まで乗り入れていて、市振―糸魚川では電車の旅が体験できる。それ以外で電化の恩恵を受けているのは貨物列車だけである。

3)道南いさりび鉄道

北海道新幹線開業前は、津軽海峡線を経由する特急電車が走っていた。しかし、普通列車は以前からディーゼルカーであった。

道南いさりび鉄道のディーゼルカー(筆者撮影)

したがって、第三セクター発足後は当然のようにディーゼルカーによる運転であり、しかも新型車両を投入することなく、JR北海道から引き継いだキハ40系の塗装を変更する程度で使用している。貨物列車は北海道と本州を結ぶ物流の大動脈であり、数多くの列車が電気機関車牽引で行き交っている。

それぞれに事情がある

在来線の電化区間もそれぞれの事情から、電車とは縁遠い区間がある。

4)室蘭本線の東室蘭―苫小牧間

かつては札幌―室蘭を結ぶ特急「すずらん」のほか、普通列車も711系電車で運転され、電化区間らしい状況であった。もっとも、非電化区間に直通する特急「スーパー北斗」はディーゼルカーであり、寝台特急、貨物列車はディーゼル機関車牽引であった。

東室蘭駅を発車するディーゼルカー(筆者撮影)

ところが、札沼線電化に伴い、電車をそちらに優先的にまわすこととなり、また、電化完成により余剰となったディーゼルカーの一部を室蘭本線苫小牧―室蘭へ転属させ、車両の有効利用を図ることとなった。

さらに、乗客減が進んでいる当該区間で3両編成の電車を走らせることは効率的ではなく、ワンマン運転可能なディーゼルカー2両編成が相当であるとの判断も働いているようだ。

それにしても、堂々たる複線電化区間を走るのが1日6往復の特急すずらんだけというのはちょっと淋しい。

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