斬新!ダイキンの「イタリア新オフィス」に潜入

働き方改革は今、世界中でアツいテーマだ

日本のビジネスシーンを取り巻く一大テーマとなっている「働き方改革」。その実現に向けて、生産性の向上をかなえるオフィス改革が今、多くの企業で進められている。その先進的な事例が、空調専業メーカーのダイキンが2018年5月、イタリア・ミラノに構えたオフィスだ。広々とした開放的な空間にスタイリッシュないすが並び、個室風のミーティングスペースもある。社員はもとより、取引先や現地に暮らす人々すべてを幸せにしたいという考えで作られたというこのオフィス。その魅力をリポートする。
Write:神原サリー(家電+ライフスタイルプロデューサー)


 世界150カ国で事業を展開するグローバル企業・ダイキン。各地域で現地に根付いた取り組みをしており、それが世界各地で売り上げを伸ばしている理由でもある。中でも、今回取り上げるダイキンエアコンディショニング イタリア社(以下、ダイキンイタリア)の2018年度の売上高は約590億円(※)で、ダイキン内で欧州最大の売り上げを誇る。ダイキンイタリアの軌跡を語るには、まずこの地でエアコンがどのように普及してきたのかを伝える必要があるだろう。

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日本と同じく四季があり、季節ごとの寒暖の差が大きいイタリアでは、夏に長い休暇を取ってバカンスを楽しむという文化があった。休暇中はリゾート地や旅先で過ごすのが一般的だったため、ミラノをはじめとする都心の住宅にはこれまでエアコンが必要なかったという。

ところが2003年、西ヨーロッパ地域の大半が「欧州熱波」と呼ばれる記録的な猛暑に見舞われ、イタリアでも3000人以上が亡くなるという痛ましい出来事が発生。これが、エアコンの必要性が注目されるきっかけとなった。さらには08年のリーマンショックで経済的に打撃を受け、夏のバカンスを諦めざるをえない人が急増。エアコンが必需品となった。

こうした中で、ダイキンは寝苦しい夜にも静かに運転する機能や、風量と風向を自動で調整して風が体に直接当たりにくい気流を実現した独自のエアコンを開発。ただ空気を冷やすだけではなく、就寝時の快適性やインテリア性を兼ね備えたエアコンを発売して人気を博し、イタリアでの立ち位置を確固たるものにしたのだ。

社員は第1のステークホルダーであり、会社の伝道師

ダイキンイタリアのオフィスにて。入り口には「Il clima per la vita」のスローガンが掲げられている。左から、ルームエアコンのマーケティングおよび営業のゼネラルマネージャーを務めるアントニオ・ボンジョルノ氏、取締役社長の亀川隆行氏、マーケティング部長のエレナ・センシ氏

ダイキンイタリアのスローガンは「空気でイタリアを幸せにする。ダイキンをイタリアの文化にする」というもの。オフィスの受付近くの壁にも「Il clima per la vita(あなたの生活に合った空気をお届けします)」から始まるメッセージが書かれているのが目に入ってきて、その熱い思いが感じられる。

同社取締役社長の亀川隆行氏は「ダイキンというブランドは、今やイタリアの8割の人に知られています。マーケットリーダーとして質のいいものを届けるだけではなく、人々の暮らしをよりよいものにしたい。すべての気候に合わせて空気環境を快適にするためのソリューションを提供して、人々を幸せにする。それこそがダイキンイタリアの使命なのです」と語る。

エコシステムの実現により、社員はもちろん、すべてのステークホルダーにダイキンイタリアの思いを伝えていく

この強い思いを社員はもちろん取引先などダイキンに関わるすべての人が共有することで、ダイキンファンを増やしながらエンドユーザーにまで伝える仕組みを同社では「エコシステム(生態系)」と呼ぶ。それを具現化する基盤となるのが、今回訪れたオフィスだ。

エコシステムの構築において、まず同社は、社員が働きやすいオフィスづくりを主眼に置いたという。なぜなら、社員は第1のステークホルダーであり、会社の伝道師だから。細長い建物の中央に会議室が設けられ、窓からの光が十分に行き届く社員のワークスペースは明るく開放的だ。

1人で業務に集中するため、カーテンで仕切られた個室。色使いもおしゃれだ

各部署のリーダーも個室にこもることなく、部下たちと同じスペースにデスクを置いて、気軽に交流を持てるようになっている。ファーストクラスのキャビンを思わせるユニークなデザインのデスクで個室のような雰囲気を漂わせつつ、立ち上がれば誰とでも話せるところが絶妙だ。家族の写真や趣味の小物などを並べ居心地のよさそうなスペースづくりをしている。

※​2018年度内平均の1ユーロ=128円で換算

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