谷中のお寺が「幽霊イベント」を開催するワケ 漫画をきっかけに落語の人気が高まっている

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幽霊とマンガと落語をコラボしたイベントを主催した、谷中にある臨済宗国泰寺派の全生庵。全生庵は幕末の無血開城に尽力し、後に明治天皇の侍従を務めた山岡鉄舟が1883(明治16)年、建立した寺院。鉄舟のほか、同時期に活躍した落語家の三遊亭圓朝も眠る(筆者撮影)

幽霊×マンガ×落語のコラボイベント

幽霊とマンガと落語をコラボしたイベントが8月3日、都内のお寺にて開催された。

イベントを主催したのは谷中にある臨済宗国泰寺派の全生庵。同寺では、所有する50幅に及ぶ幽霊画を、毎年8月の1カ月間一般公開している。

三遊亭圓朝による幽霊画コレクションを公開する「幽霊画展」。30年ほど前から開催されており、毎年、多い日で300人程度が来場するという。谷中の全生庵にて8月31日まで開催。拝観料は500円(筆者撮影)

同寺に眠る落語家・三遊亭圓朝の命日にちなんだ「圓朝忌」の一環として行っているものだが、暑さが極まるこの時期、背筋がヒヤリとするような体験で涼を呼ぶとともに、一般の人にお寺に親しんでもらう狙いもあるのかもしれない。

圓朝生誕180年にあたる今年は初の企画として、人気漫画家の雲田はるこ氏、落語家の金原亭馬玉氏を招いてのトークセッション、馬玉氏による落語公演を組み合わせたイベントを開催。

イベント開催日の8月3日には、女性を中心とした、およそ120人が同寺の会場を満たした。

雲田氏による漫画「昭和元禄落語心中」は、落語家を目指す前科一犯の若者が主人公。師匠である「八雲」の青春とともに、戦前から戦後、現代にかけての落語の変遷を描く。未来に向け、成長し続ける文化としての落語への期待も感じられる作品である。

次ページ同作品の重要なモチーフとなっているのが…
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