学生80人超が住む「愛知県のある団地」の仕掛け

世代間交流を深める高蔵寺ニュータウンの今

この取り組みのきっかけについて、依頼側である中部大学学生教育部学生支援課の殿垣博之さんはこう話す。

「本学は東海三県から通学する学生の割合が大きく、中には片道2時間以上をかけて通学する学生もいます。そこで大学としては、学生の通学時間を短縮し、その時間を学業やクラブ活動、インターンシップなどに役立ててほしいと考えました。ただ、経済的に厳しい状況の学生も多いので、可能な限り通学にかかる交通費に近い金額で下宿代がカバーできるような取り組みを模索し、この制度が提案されました」

元気な学生たちの住まいは上層階

地域連携住居制度を利用する入居者で組織される学生団体、中部大学KNT創生サポーターズ(以下、CU+)の今年度リーダーを務める、中部大学人文学部三年生の西井皓祐さんにお話を聞いた。

「地域連携住居制度については、大学の合格通知に同封されていたので、入学前から知っていました。実家は県外なので、当初からここに住もうと決めていました」

それまでは、地域イベントへの参加経験がなかったという西井さん。「入学するまであまり興味がなかった」と正直だ。そんな西井さんの住まいにお邪魔してみた。ファミリーでも住むことができる2DKの間取りは「1人なら十分すぎる広さです」といい、住み心地には大満足。毎月の家賃も割安で、大学からも近いので、友達が遊びに来ることもある。

学生の住まいは、エレベーターのない指定された棟の空いている部屋から、好きな間取りを選べる。4~5階は高齢者や幼児がいる世帯にとっては不人気であるため、学生たちが住めば、UR都市機構側としてもメリットがある。西井さんも上の方の階に住んでいるが、若いだけあって「階段にはすぐ慣れました」と笑顔を見せた。

参考書などが並び、いかにも学生らしい西井さんの居間兼寝室。大学へは車で10分ほどの距離なので、授業の合間にちょっと帰宅することもできる(写真提供:西井さん)

UR都市機構による賃貸物件なので、仲介手数料や礼金などが必要なく、退去時の精算も国土交通省のガイドラインに則って行われるので、初めて一人暮らしをする学生にも分かりやすい。

入居は空室があれば随時で、年度の途中から住むこともできる。入居可能な住居や家賃については、希望者がUR都市機構の窓口に問い合わせることになっている。なかには、部屋をシェアして住んでいる学生もいるそうだ。

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