「戦争論」が示唆する本気で考えることの神髄

積極的に「誤読」してビジネスに活かそう

クラウゼヴィッツの『戦争論』からビジネスを読み解く(写真:土風/PIXTA)

成功の説明はすべて後付けにすぎない

1990年代、シスコシテムズは驚異の成長をとげた。もともと地下室をオフィスにしたスタートアップだった。彼らは積極的なM&Aを重ね、市場を席巻することに成功した。社員は楽しみながら働き、そして、顧客の声に耳を傾ける。関連企業も支配することによりシナジー効果を生み出す。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

自社でなんでもやるのではなく、必要な機能は企業を買収すればいい。そのような潮流もシスコへの称賛を増やしていた。しかし、2000年代に入ると、株価は大きく下落し、そして従業員のリストラクチャリングを実施するにいたった。

2019年の現在、シスコの株価は、絶頂期のそれにまでは至らないものの、復活している。批判はあれども、立派な経営状態にある。

『戦争論〈上〉』(岩波文庫)書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

私が興味深いのは、2000年代はじめの不調は、それまでシスコシテムズの強みと思われていた観点から語られていたことだ。つまり、顧客とのコミュニケーションがさほどうまくいっていなかった。取引先との情報共有も不十分だった。企業文化にも問題があった。買収企業の選定に、さほど合理性がなかった――などだ(なお、これらの過程はフィル・ローゼンツワイグ『なぜビジネス書は間違うのか』に詳しい)。

考えてみるに、好調企業を説明するに、「社員が楽しそうに働いている」「顧客中心」「関連企業とのシナジー」とさえいっておけば、ほぼすべてにあてはまるだろう。固有名詞は出さないものの、日本の某社も好調時にはそう説明されていた。

次ページ最も怖いのは「大衆の手のひら返し」
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • コロナ後を生き抜く
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「満足度No.1」は本当か<br>英語コーチング広告で紛糾

近年急拡大し伸び盛りの英語コーチング業界が広告・宣伝のあり方をめぐって真っ二つに割れています。大手プログリットの広告に対し、同業他社が猛反発。根拠薄弱な宣伝文句が飛び交う、ネット広告の構造問題に迫ります。

東洋経済education×ICT