子どもに絶対言ってはいけない「全否定3要素」 たった一言が何十年も子どもを苦しめる事実

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たとえ一回でも、冗談半分だったとしても絶対に言ってはいけない類いの言葉があります(写真:amadank /PIXTA)

何十年経っても忘れられない一言

私は、小学生のときに先生に言われた言葉で、忘れられない一言があります。ある日の授業で、先生が出した問題に私が手を挙げて答えたときのことです。それは正解だったのですが、その直後、先生が「隣の○○の答えを見ただろ。お前にそんなことがわかるはずがない」と言ったのです。

この言葉は、50年近くたった今もはっきり覚えています。先生は、私のことを「隣の子の答えを盗み見て発表するようなずるい子」だと思っているわけです。これは私の人格を丸ごと否定する言葉であり、忘れようと思っても忘れられない類いの言葉です。

40代の岡田さん(仮名)は、3人兄弟の末っ子です。中学生だったある日、テレビのチャンネル争いで高校生の兄たちとジャンケンをしたとき、遅いタイミングで出してしまいました。すると、それを見ていた父親から「お前はホント卑怯だよ」と言われました。それを聞いた岡田さんは、「自分は父親にそんなふうに思われているんだ」と感じて、非常に落ち込んだそうです。

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岡田さんは、「『卑怯』という言葉で、私は自分の性格というか人格というか、とにかく自分自身が完全否定されたように感じました。それからは父親を避けるようになり、いまだにちょっと関係が難しい感じです」と言っています。

私と岡田さんが言われたような人格否定の言葉は、絶対に言ってはいけない言葉です。たとえ一回でも、言われたほうは深く傷つきます。一生忘れられなくなる可能性もあります。現に60代の私も40代の岡田さんも、いまだにはっきり覚えているのですから。そして、自分が傷つくだけでなく、言った相手に対する不信感も抑えがたいものになります。

このほかにも、人格否定の言葉には次のようなものがあります。例えば、「宿題やってから遊ばなきゃダメでしょ。お前は本当にずるい」の中の、「本当にずるい」が人格否定の言葉です。「今日も妹を泣かせて。そんなに意地悪なの」の中の「意地悪」。「後でやるって言ったのにやってないじゃん。やっぱりあんたはうそつきだ」の中の「うそつき」。

ほかにも次のようなものがあります。だらしがない。情けない。怠け者。根性がない。バカ。のろま。気持ち悪い。弱虫。泣き虫。何度言ったらできるの。あなたは口ばっかり。お前はいつもそうだ。そんな子に育てた覚えはない。どうしようもないやつだ。お前には無理だ。お前にできるわけがない。お前はいつもそうだ。見込みがない。お前は信用できない。お前はダメだな。だからお前はダメなんだ。

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