転職時、知らないと損する「社会保険の超常識」 会社員が知っておくべき3つのポイント

拡大
縮小
転職を考える際には、社会保険料の仕組みをしっかり学んでおきましょう(写真:freeangle/PIXTA)

先日、7年ほど勤めた会社を退職し、キャリアアップのため転職したSさん(35歳、男性)。転職先で初めてもらった給与明細と前職で最後にもらった給与明細を見比べて驚きました。

同じ月に社会保険料が両方から控除され、しかも前職の社会保険料は毎月の金額の2倍近くも控除されていたからです。

Sさんは、社会保険のルールに詳しくなく、それぞれの会社の計算が正しいのか、間違っているのかわかりません。前の職場に電話で確認するのも気が引けて困ってしまったのでした。

転職市場が活況の中、転職を検討されている方も多いと思います。そこで、今回は、転職時に損をしないように押さえておきたい社会保険のルールについてお話しします。

知っていましたか?社会保険料は日割り不可

1. 押さえておきたい社会保険料の仕組み

会社員が加入している社会保険(健康保険、厚生年金保険)。その保険料は、会社と折半で負担しており、社員分は、毎月の給与から源泉徴収という形で自動的に控除されています。また、社会保険料は、月単位でかかります。つまり、入社、退社の日付によって保険料が日割りにされることはないのです。

では、いつからいつまでかかるのか。それは、『入社月から退職日の翌日の属する月の前月』までかかるのです。

ちょっと込み入った話になりますが、要は、入社月は、1日入社だろうが、月末入社であろうが1カ月分の保険料がかかるということです。

一方、退職月は月末退職であればその月まで、月末より1日でも前に退職すれば退職月の保険料がかからないことになります。例えば、5月31日退職であれば、5月分まで保険料がかかり、5月30日退職の場合は、5月分はかからず、4月分までの保険料がかかることになります。

ただし、注意が必要なのは、5月30日で退職した場合。その会社では5月分の社会保険料はかかりませんが、5月31日付で転職したり、転職しなくても国民健康保険や国民年金に加入、変更することになるので、別途、国民健康、国民年金保険料がそれぞれ1カ月分かかかってしまいます。退職日を月末より前にすることによって必ずしもおトクになるわけではないので、ご注意ください。

次に、毎月給与から控除される社会保険料についてですが、毎月の給与から控除されているのは、原則として前月分の社会保険料です。例えば、5月給与で控除されているのは、4月分の保険料ということです。そのため、一般的には入社月の給与からは保険料は控除されず、退職月の給与からは前月分と退職月分の2カ月分が控除されます。

例えば、給与の締め日が月末で、支払い日が25日であった場合。5月31日退職したケースでは、5月25日に支払われる給与で4月分と5月分の2カ月分の社会保険料がまとめて控除されることになるのです。

次ページタイミング次第では二重加入も
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT