「紙おむつ原料」でついに経営統合が起きたわけ

日本触媒と三洋化成が2年後をメドに合併

経営統合を発表し、握手を交わす日本触媒の五嶋祐治朗社長(左)と三洋化成工業の安藤孝夫社長(写真:共同通信)

今年第1四半期、世界のスマホの出荷台数は前年同期比で約7%減少した。2018年の世界自動車販売台数も前年比0.5%減だった。

モノがみな縮みゆく時代。ところが、この先数十年、ほぼ確実に安定成長が見込める市場がある。紙おむつだ。生まれた途端にお世話になり、老境に入ればまた、お世話になる。紙おむつは少子高齢化も関係ない。

この紙おむつの主原料、水を効率的に吸収する高吸水性樹脂(SAP)の有力メーカーである日本触媒と三洋化成工業が5月29日、経営統合で基本合意した。世界ランキングは日本触媒がトップで、三洋化成が5位。実現すれば、世界シェア3割のトップメーカーが誕生する。

統合を決断した三洋化成の事情とは

紙おむつが成長すれば、原料のSAPも成長し、人もうらやむ年率5~7%の成長が約束されている。それでも、経営統合を決断したのは、まず三洋化成の事情がある。

三洋化成は昨年10月、マレーシア新工場を立ち上げ、SAPの生産能力が2割拡大した。読み間違えたのは、SAPの原料であるアクリル酸の調達だ。当初、中国のアクリル酸メーカーが増設したプラントが一斉に動き出し、アクリル酸市況は軟化する、というのが大方の見方だった。

ところが、中国で環境規制が強化される中、中国からアクリル酸が思うように出てこない。原油高も加わり、アクリル酸の市況は2017年央のトンあたり1220ドルが、2018年央には1500ドルに上昇した。高い原料を使ってマレーシア新工場の稼働を優先すれば赤字が膨らむだけ。三洋化成は「数量は追わない。シェアを落としてもいい」と腹をくくった。

1つの見識だったが、その結果、マレーシア新工場の操業度は5割程度にとどまった。2018年度決算でマレーシア投資額110億円のうち88億円の減損を余儀なくされるに至った。生産調整は名古屋、中国・南通工場にも及び、SAPを含む「生活・健康」部門の売上高は、マレーシア稼働にもかかわらず、47億円も減少(前期比8%減)した。SAP事業の先行きに茫漠たる不安感が漂い始めていたことは想像に難くない。

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