「戦争論」をあえてビジネス書として読む効用

ビジネス戦略での防御・集中・天才の本質

『戦争論』がなぜビジネスに役立つのか、その奥深さを解説します(写真:Pangaea/PIXTA)

愚者と賢者に境目はない

私は人文系の書籍を多く読む。雑誌も読むよう心がけている。

あるとき、高名な学者が、某国で流行していた疫病について語っていた。その知識は異常なほど広大で、疫病や医学研究史や、パンデミック時の群集心理にも触れていた。その学者が、けっきょくのところ、私たちとしては何に注意すべきか、という質問に答えていた。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

「手洗いとか、うがいとかが重要ですよね」

きっと笑うべきところではないだろうが、笑ってしまった。なぜならば、それなら無学な私もやっている。これは知識を揶揄したいわけでは、けっしてない。私も知識の欠片を売って生活している。

しかし、と私は思ったのだ。愚者も賢者も、行動レベルでは変わりがないのか、と。

『戦争論〈上〉』(岩波文庫)書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

まだ私が20代の若いころ、ある方のご厚意で、ビジネススクールに無料でご招待いただいた。といっても、何日間かの短期間のもので、企業のケーススタディを読み、参加者でディスカッションするものだった。業種の違うひとたちが、それぞれの企業がなぜ成功したのか、なぜ失敗したのかを討議する。宿題として用意した、おのおのの分析結果を見せ合う。

参加者は、課長になる直前の方々で、私よりもだいぶ年齢は高かった。グループで資料をまとめ、それを講師が講評する。その講師も、どこかのMBAを取得していて、経営の経験もある。その解説の見事さに、若い私はたいへん感心した記憶がある。

次ページ見事な分析に感じた強烈な違和感
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショック、企業の針路
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 西村直人の乗り物見聞録
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
なぜ取締役会に出席しない?<br>会社側の苦しい「言い訳」

役員会に出席せず改善の兆しがない取締役は、機関投資家や議決権行使助言会社から厳しい目を向けられています。株主総会招集通知から、取締役・社外監査役の取締役会出席率を独自集計し、欠席の多い人のランキングを作成しました。安易な選任の実態は?