「絶対にだまされない」と過信する人の落とし穴

実はその根拠のない「過信」こそが危ない

2. “しっかり者”と周囲からの評判もいい

自信を持っていることと関連するが、周りから「絶対あの人は大丈夫」と思われるタイプの人も要注意だ。

実は、筆者の身近に、還付金詐欺に騙されてATMから数十万円を振り込んでしまった70代の女性がいる。仕事を持って自活しており、言いたいことははっきり主張する姉御肌、プライドがあり、お金の勘定にも優れているタイプだ。周囲の人からは一目置かれており、つねづね「あなたはしっかり者ね」「凄いわ、感心する」と褒め上げられていた。

私も、本当に快活でしっかりした人だなと感じており、また、おべっかを使う下心もあって、「ああいう詐欺には引っかかりそうにないですよね」と言ったことがある。特別に傲慢な人ではなかったが、「もし電話があったら、撃退してやるわ!」と明るく笑顔で言っていた。だから、騙されたと聞いた時は「まさか!?」と私までが仰天したものだ。

本人の中に自信満々な隙もあったのだと思うが、周りの人間にとってみれば「騙されないように気を付けて下さいね」などと忠告するのは失礼に当たるかも、と感じさせる人でもあった。しかし、しっかり者で快活であることと、詐欺に騙されないことは、イコールではないのだ。

家族とコミュニケーションのとれる状態がとても重要

3.いざトラブると「誰にも相談できない…」と思い詰めがち

「オレオレ詐欺」の被害者の75.1%は、息子や孫から「トラブルに巻き込まれた」という電話があったことを誰にも相談することなく、現金やキャッシュカードを犯人に渡してしまったという。

内向的な人は、「金を使い込んだ」「ヤクザの車にぶつけた」など恐ろしい物語に揺さぶられると、恐怖と不安に陥って思考が停止したり、誰にも相談できないと思い詰めてしまうことがある。孤独という閉塞感に追い込まれたところに、「今日の〇時まで」などと時間を区切られて焦らされると、客観性や冷静な判断を奪われてしまい、詐欺師の誘導に乗ってしまうのだ。

詐欺電話がかかってきて、「家族に相談した」というケースでは、多くがその家族によって未然に阻止されている。自分で詐欺だと気づいた人でも、単独で見抜いた人ばかりでなく、58.6%が同居の家族に、53.5%が別居の家族に相談しているという特徴がある。同居、別居に関わらず、一人で思い詰めずにコミュニケーションがとれる状態にあることはとても重要なのだ。

4. 自分がなにをしたいのかがわかっていない意志薄弱タイプ

私が大学生の時に騙されかけた「マルチ商法」(詳細は前回記事)では、喫茶店の奥の席にまんまと連れ込まれて2人の詐欺師に囲まれ、どんどん成功話を持ち掛けられて契約する直前まで話を進められた。ひどい世間知らずだったのもあるが、なにより「意志薄弱」だったことが、騙された大きな原因だと告白しておく。

平和ボケの症状でもあるが、子どもの頃から「大学を出たら地元の信用金庫につとめて、旦那さんを見つけて寿退社だ」と言われるような時代にただ漫然と流されていたきらいがあり、これという明確な目的を持たないまま大学生になっていた。

「自分はこうしたい」「目標がある」という主体性が薄いので、強引に勧誘された時に「私にはやるべきことがあるから」ときっぱり押し戻すことができない。ふにゃふにゃと流されるままに、自分の意思を持たず、相手の話をいつまでも聞いてしまうのだ。

いま思えば、暴力的に監禁されていたわけでもなく、恐怖にも不安にも苛まれてはいなかったから、断って喫茶店を後にする自由もあった。なのに、ただ「へえ」と話を聞いていたのは自分自身だったという事実を認識し、きちんと恥じなければならないと思う。自分がなにをしたいのかが自分でわかっていないという漫然とした状態は、危険と隣り合わせなのだ。

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