日本が世界に誇れる「空気オタク」3人の情熱

蒸し暑い夏を救う、たった1つのこだわり

湿度が重要視される背景にはもう1つ、住環境の変化もある。「日本古来の木造家屋では、壁や戸に小さな隙間があり、そこから自然に部屋の湿気が抜けていきました。しかし最近は、建築技術が向上して気密性の高い住宅が増え、湿気がそのままとどまるようになってしまった。昔よりずっと、湿度コントロールの必要性が高まっているといえます」(岡本氏)。

空調生産本部 住宅用空気商品グループ グループリーダー 主任技師
小西良

昔と今では、ユーザーのニーズにも違いがある。小西氏は「エアコンが日本の市場に出始めたころは『冷たい風をしっかり体感できること』が求められていました。しかしエアコンが普及しきった今では、より自然に体感温度を変える『快適な空調』が求められています」と語る。

高気密住宅の増加、そして生活者ニーズの変化もあって、湿度コントロールの重要性は高まるばかり。そこで彼らが挑んだのは、単なる除湿・加湿にとどまらない、より高いレベルの「湿度コントロール」で快適さを追求することだった。

「運転開始から時間が経っても快適な空気を維持したい。これを目標に据えて、湿度コントロールを3段階に分けて行う機能を開発しました」(仲田氏)

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湿度コントロールを3段階に分けて行い、空気の状態に合わせて各段階を自動的に変化させる

まず運転開始直後(1段階目)は温度・湿度の両方を下げて、体感温度を下げる。そして温度が設定温度付近に達すると(2段階目)、除湿のみに移行。さらに深夜など温度が下がり湿度が高いときには、室内機に吸い込んだ空気を暖めて放出することで、温度を下げずに除湿をする(3段階目)。この3段階を自動で切り替えながら、快適性を長時間維持するという仕組みだ。

この機能は、すでに「うるさら7」などに搭載されている。「従来の技術と組み合わせることで、少ない消費電力でも十分な除湿が可能になりました」(仲田氏)。これほどこまやかで質の高い湿度コントロールは、空調専業メーカーだからこそ生み出せた技術といえよう。

AIでかなえたい「その人だけの快適さ」

自他共に認める「空気オタク」の開発者たち。彼らが生み出した湿度コントロールの技術を、さらに一歩前進させるのがAIの存在だ。

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エアコンをつけてから3時間以上経過した後に、設定を変更している人が多い

「リモコンを手にして操作するということはつまり、その温度・湿度では快適ではないということ。リモコンの操作内容にはユーザーのニーズが如実に表れると考え、最新のエアコンには、リモコン操作の内容とそのときの温度や湿度、壁の温度からの快適性を記録する機能、そしてAIを搭載しました。データを基に、その人に最適な温度や湿度をAIが学習し、快適な空調を提供するという仕組みです」(仲田氏)

湿度コントロールができるエアコンは、日本以外にも東南アジアの国々などで需要がありそうだ。

「ただ東南アジアの大半の国では、最近ようやくエアコンが普及し始めたばかり。今はまだ、冷風をしっかり感じたいというニーズが高い段階です。今後エアコンの普及率が上がるにつれて、日本のように、湿度コントロールをはじめとする快適な空調が求められていくでしょう」(小西氏)

「長年積み重ねてきた空調のノウハウ、それからグローバルな事業展開が当社の強み。これらを基に、世界各地域・各国のニーズに合わせた製品を提供していきたいと思っています」(岡本氏)

世界でも類を見ないほど高温多湿の日本で、空気オタクたちがたどり着いた空調の極意。今年もいよいよやってくる盛夏を快適に過ごす秘訣は、どうやら「湿度コントロール」にこそありそうだ。

心地よさを長続きさせる、ダイキンならではの技術

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