病的に「自分が好きな人」がひそかに抱える葛藤

実は大きな不安を抱え現実直視を恐れている

そのように期待どおりにいかずに傷ついているのを周囲に感づかれたら、さらに立ち直れないくらいに傷つく。自分が傷ついているということは、何としても感づかれないようにしなければならない。

気になることでも気にしないフリを装う。気にしているのがばれないようにかっこつける。友だちに対しても、そうした防衛的な構えを崩さないため、ホンネのつき合いがなかなかできない

友だちになってもホンネを出さずに身構えている感じがある場合は、その背後に傷つきやすく不安な気持ちが潜んでいるとみて間違いないだろう。

まるで「ヤマアラシ」のよう…

自己愛の傷つきを恐れるあまり親密な関係を築けないというタイプは、思うような評価が相手から得られなかったら傷つくという不安に加えて、嫌われるのではないかという不安も抱えている。

心理的距離が縮まると、遠慮がなくなるため、お互いのわがままが出やすい。ゆえに、関係が深まるほど衝突することも多くなる。それは、どんな人間関係にも一般的に当てはまることだ。

とても寒い冬の日、凍えそうになったヤマアラシのカップルが、お互いの身体を温め合おうと身を寄せ合った。そうすることで冷たい風にさらされる部分が減るため、温かくなる。

「これは温かいぞ、もっと近づこう」とさらに距離を縮めると、お互いのトゲが相手に突き刺さり、痛みが走る。「痛っ!」と飛び退く。だが、離れると寒風にもろにさらされ寒くて仕方ない。

そこで再び近づく。温かい。さらに近づく。痛い。飛び退く。寒い。こんなことを何度も繰り返した末に、ヤマアラシのカップルは、お互いに傷つけ合わずに温め合うことができる適度な距離をとることができるようになった

これはヤマアラシ・ジレンマと呼ばれる葛藤状況を描いたものだ。哲学者ショーペンハウエルが描いたエピソードをもとに、精神分析学者フロイトがヤマアラシ・ジレンマという概念を精神分析に導入した。これはまさに、人と人の心理的距離をめぐる葛藤を象徴するものといえる。

自己愛過剰なタイプは、ヤマアラシ・ジレンマでいうトゲが長く強烈であることが多い。

次ページそのトゲがつい相手に刺さってしまうと…
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