「離婚望む妻」を絞殺した73歳夫の複雑な胸の内

老夫婦の「すれ違い」が招いた後味の悪い事件

すゑ子さんは調停で次のような書類を提出していたという。

「同居して数年後から、被告はすゑ子さんに暴言を吐くようになり、外泊が増え、コミュニケーションを拒絶するようになった。そのためすゑ子さんはうつ病を患った。また自宅マンションはすゑ子さんの保有財産から1300万円の頭金を払い、事実上半分以上すゑ子さんが支出していた」

「2人の関係」は脳梗塞の前から崩れていた

脳梗塞は関係なく、もともとすゑ子さんとの関係は良好とはいえなかったようだ。すゑ子さんと前夫との間の息子が証人出廷し、文雄被告が脳梗塞を起こす前の様子を、怒りを込めこう証言した。

<すゑ子さんの息子の証言>
1996年ごろから二人は同居するようになりましたが、当時から母は松嵜から嫌がらせを受け、病院に搬送されたり、また2009年には母が帰宅すると、松嵜が見ず知らずのスナックの女性と裸で寝ていたりという浮気があったり、関係がよくないときは多々ありました。
松嵜は母に金を渡さない時期もあり、また2010年には、母に暴力をふるい、私が海外出張で国外にいたため助けることができず、大宮の従兄弟に助けに行ってもらったときもありました。
事件前年には、金を自分で管理したいと言いだし、その頃から、金の流れについて母を責め立て、「馬鹿野郎」と罵倒したり、ストレスがたまるとリモコンを母に投げつけたと聞いています……。

すゑ子さんの息子は文雄被告のかつての行状を、時に声を詰まらせながら語り続けた。文雄被告が脳梗塞を起こす前から夫婦の関係は冷え切っており、また文雄被告の言動に、すゑ子さんの子どもたちは怒りを感じていたようだ。

だがこの証言も、当の文雄被告はすぐには理解できない。冒頭のようにパソコンの画面に表示された文字を読み、通訳からの説明を受け、理解した様子でうなずいたり、また頭を左右に振った場合は通訳がさらに説明を加え、尋問が進んでいく。

頭を左右に振るときの文雄被告が、証言内容そのものを理解できないということなのか、それとも証言に納得いかず自分の言い分があるということなのかが、様子を見ていても判然としないことがたびたびあった。

次ページ文雄被告に言い渡された判決は…
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