ドコモの「値下げ」はなぜ実感を持てないのか 5期ぶり減益でも、値下げ幅小さく見える逆説

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4月26日の決算会見で「できるだけ早く(業績を)回復させたい」と語ったNTTドコモの吉澤和弘社長。写真は4月15日の新料金プラン発表会(撮影:今井康一)

「今期は新料金プランの導入により減収減益になるが、ここを底にして、できるだけ早く回復させたい」

6月から大幅値下げを断行するNTTドコモの吉澤和弘社長は4月26日、東京都内で開いた決算説明会で、そう語った。

この日公表した2020年3月期の業績予想は、売上高が前年同期比(以下同じ)5.4%減の4兆5800億円、本業の儲けを示す営業利益が18.1%減の8300億円、最終的な儲けを示す純利益は13.2%減の5770億円という厳しいものだった。営業減益は実に5期ぶりだ。

ところが、足元の経営に与える影響がこれだけ大きいにもかかわらず、今月15日の新料金プラン発表後に「大して安くなっていない」という声が飛び出した。こうした冷ややかな反応があるのは、一体なぜなのか。

新料金プラン導入で一転減益に

2019年3月期の決算は、売上高が1.7%増の4兆8408億円、営業利益は2.7%増の1兆0136億円、特別利益が剥落した影響で純利益は16.1%減の6648億円だった。携帯の通信料収入は昨年5月に導入した従量課金制プランの影響で減少したが、好調だった端末補償や金融、動画などの非通信サービスで補った。コスト削減も効いて営業増益を確保した。

これが2020年3月期に一転するのは、新料金プランとして7GBまでの従量課金制の「ギガライト」と、30GBまでの定額制の「ギガホ」を導入するためだ。ドコモによると、通信料金ベースの新旧プランの比較では、同社の携帯電話契約者の70%を占める「家族で3回線以上」のユーザーや、15%を占める「家族で2回線以上」のユーザーなど多くの場合で2~4割程度の値下げになるという。

例えば、家族で3回線以上の条件でギガホに入る場合、1人当たりのデータ通信料金は税別月額5980円で、従来のウルトラデータLLパックの最安値の同8480円と比べると約3割安くなる。

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