独断で選ぶ、国鉄・JR「史上最強の機関車」五人衆 真価発揮できず「役不足」に甘んじた機関車も

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1600トン列車を牽引するために開発されたEF200(写真:kakih0703 / PIXTA)

国鉄・JRの機関車で最大の出力を誇るJR貨物の電気機関車、EF200が3月28日に最後の運行を終えた。そんな折、東洋経済オンライン編集部から「JRで最強の列車を選んでほしい」というお題をいただいた。

“最強の機関車”とは何だろうか。日本の機関車で“最強”といえば、“大出力を誇るJR貨物のEF200をおいてほかはない。以上”、といってしまうと面白くも何ともない。“万能”という、“最強”に似た言い方もあるけれど、かつて“万能の機関車は?”という問いかけに対して、国鉄の技術者から“万能というものは、そうそうはないのですよ”とのお答えがあったのを、印象強く覚えている。

ということで、3月13日付記事(平成最後を飾る、JR「史上最強」の特急電車は?)に引き続き、今回も客観的な定義は定めず、思いつくまま、趣味的に、筆者の独断と個人的な好みを交えて選んでみた。

採り上げたのは電気機関車とディーゼル機関車である。JR以後の新型機…となると、ほとんどJR貨物の機関車になってしまうから、国鉄時代の機関車も、JR化以後も日常的に使われ続けた形式を含めた。蒸気機関車については、さらに議論百出間違いないところなので、また別の機会に譲りたいと思う。

東海道と山陽路の覇者「EF200」

国鉄の分割民営化が実行された1987年、日本はバブル景気に突入していた。“縮小の一途をたどり……”とされていた鉄道貨物輸送も復調して輸送量が急激に増加した。さらに将来の拡大を目指して開発されたのがこの機関車というわけである。

東海道・山陽本線の覇者だったEF200は3月28日で現役を引退した(中庄-庭瀬間、2009年5月24日、筆者撮影) 

開発目的は、東海道本線での1600トン列車牽引だった。それまでの最大はコンテナ車26両編成の1300トンだったのをコンテナ車32両編成まで、約2割も増大させようというのである。6000キロワットという出力は、その実現のために必要な能力だった。最高速度は設計上が時速120キロメートル、実用速度が時速110キロメートルである。

当時は、大容量の半導体素子がまだまだ開発途上にあった。6動軸で定格出力6000キロワット分のコントロールが可能な素子は存在していなかったこともあって、1つのモーターを1つの装置で制御する方式となった。それでも1000キロワットを制御する必要がある。主制御装置以外の周辺機器についても、実質的にはEF66でストップしていた大型直流電気機関車への新技術開発がこの機関車の設計過程で大いに進展した。

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