守らないと罰則!有給休暇を正しく取るルール 4月から施行、従業員に変更点の説明は必須

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4月から有給休暇の取得が「義務」となりました。変更点の周知は人事担当者だけでなく、職場で共有することが肝要です(tabiphoto/PIXTA)

4月から年次有給休暇(有給)のルールが変わりました。4月1日施行の改正労働基準法により、年10日以上の有給が付与される労働者に対して、そのうち5日を1年以内に取得させることが新たな会社の義務となります。これに伴い会社がこの義務に違反すると、有給5日を取得していない労働者1人当たり最大30万円の罰金が会社に科せられる可能性があります。

日本人は休んでいないのか?

まず、なぜ今回の有給を5日取得させる義務が導入されるたという点について確認しましょう。そもそも日本人は休んでいないのでしょうか。今回の義務化は、日本が世界的に見て有給消化率が低いという理由から、罰則付きで強い強制力を伴って導入されました。

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確かに、有給取得率はフランスが100%、シンガポールが87%、アメリカが87%程度であるのに対し、日本は50%程度であるという実態はあります。

しかし一方で、年間の祝日日数が多い国です。フランス9日、シンガポール11日、アメリカ10日であるのに対し、日本は17日あります。そのため、有給取得日数だけではなく、祝日日数もプラスして考えると、日本はフランスには及ばないもののシンガポール、アメリカよりも休暇日数が多いのが現状です。これに加えると、今後、有給5日取得義務により日本の休暇日数合計は世界トップ5に入るレベルとなるでしょう。

問題は、これが正しい方向性なのかどうか。この点は読者の皆様の判断に委ねたいと思いますが、少なくとも「日本人は休暇が少ない」説の根拠は有給取得率である場合が多く、その前提を疑ってかかるべき場合が多いことは間違いありません。

まずは、4月からスタートしている有給5日義務の注意点について解説していきます。

①中小企業を含め、4月1日からスタートしている!

前回述べた労働時間の上限規制は、中小企業については2020年からの適用となりますが、有給5日義務については中小企業も含めて、既に対応が必要な問題となっています。

②期間は付与日から1年以内、自分で消費すればその分はカウントされる

初年度の特例など例外を除けば、基本的には期限は付与日から1年以内となります。また、会社が有給の時季指定をせずとも、労働者が自ら有給を消化したり、「計画年休」という制度で既に1年のうちに5日の有給消化が決まっているのであれば、それ以上の対策は不要となります。

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