古典をあえて「曲解」して仕事に応用するコツ

ヴェーバー名著から「新たな顧客創造」考える

古典といわれる名著をいかにビジネスシーンに生かすか。坂口孝則さんは読書会でその読解メソッドをビジネスパーソンに伝授しています(写真:ProImageContent/PIXTA)

人生は逆説で満ちている

1995年。誰かにとっては平凡な一年も、私にとっては特別な思い出の年となった。たまたま遊びに行った大学生の部屋で、スレイヤー『Reign in Blood』を聴いた。そのとき、なんとも言い難い衝動に駆られた。私が高校1年生のときだった。

その驚きと、恐怖にも似た心の揺れを、どのように表現してよいのかいまだにわからない。彼らが演奏していたのは、私が教えてもらった安全な音楽から遠く離れた何かだった。速さ、凶暴さ、暴力性。私はそのとき佐賀県で、日本の片隅にいた。しかし、そのときはじめて、大げさにいえば、人生には両親が一度も教えてくれなかった可能性があると知ったのだった。

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

そして、その数ヶ月後、違う知人宅で、ブルータルトゥルース『Extreme Conditions Demand Extreme Responses』を聴いた。音が鳴り始めた瞬間の高揚を、うまく伝えることができない。音圧、絶叫、狂気。そのとき、うわあ、と動物的としか表現できない音が私の口からもれた。私の原始的なところに触れ、何か心臓をつかまれた感じだった。

たとえテストで満点をとり続けても、大学を主席で卒業しても、そして会社で取締役に上り詰めても、世界の少年たちにこのような感動をもたらすことはできない事実に、私はこのとき気づいた。

そこから私はメタル、ノイズ、プログレといった音楽に傾倒していく。その過程で知ったのは、この反逆的な音楽は、多くの哀しみを乗り越えた果ての表現だと知る。たとえば、メタルはイギリスの労働階級から誕生した音楽であると有名だ。労働搾取で抑圧された不幸と、超えることのできない差別への憎しみ、そして階層への憤り。それらが形を変えてエクストリームミュージックを形作っていった。

さらに、多くのバンドは、そのメンバー間の葛藤や、離別、そして不慮の事故を経験しつつも、活動を続けている。それは、まさに呪われたかのようだ。

先日、映画『アリー/スター誕生』を観に行った。レディーガガが出演し話題になった一作だ。この映画では、主人公がその歌唱力を見出され、一流アーティストに上り詰める様子を描いたものだ。この作品のテーマは、死別である。作品の最後で大切な人間を失ってしまう主人公は、彼に捧げた曲を、絶望的なほどの歌唱力で歌い上げる。

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