子育て支援施設の移転に母親らが反発した理由

越前市「説明不足」、果たせなかった市民協働

3月15日には1年間の思い出を振り返るイベントも開かれ、絵本館との別れを惜しむ歌も歌われた=福井県越前市高瀬1丁目(写真:福井新聞)

福井県越前市かこさとしふるさと絵本館内の「地域子育て支援センター 一陽(いちよう)」を3月末で市内のショッピングセンター「シピィ」に移転する市の措置に対し、子育て支援の利用者が反発している。

利用する母親らの求めに応じ、市は3月27日に絵本館で説明会を開催。保護者からは「移転を決める前に利用者の声を聞いてほしかった」などと不満の声が相次ぎ、市側は「説明不足があった」と謝罪した。

利用者増加から、スペース確保のため移転

地域子育て支援センターは子育て家庭が自由に集え、相談できる場所として市が社会福祉法人やNPOに委託して運営している。一陽は2015年4月、市内4番目の施設として館内ホールにオープン。当時は知名度が低かった絵本館を多くの親子に利用してもらおうという狙いもあった。

市出身の絵本作家加古里子さんの作品に囲まれた環境は好評で、絵本館スタッフによる読み聞かせも一陽ならではの魅力に成長。18年度は延べ約1万6千人が利用した。

一方、昨年5月に加古さんが亡くなってからは、メディアに取り上げられる機会も増え県内外から絵本館への来場が増加。保育園や小学校の団体利用は16年度35団体1090人から18年度は58団体2003人まで増え、活動スペースの確保が課題になってきた。昨年開いた加古さんの特別展では、館内ホールを展示スペースとしたために一陽を約1カ月間休まざるを得ないケースもあった。

これらの課題解消を目的に市は、運営する社会福祉法人側と協議してシピィ2階への移転を決定。3月1日に書面や張り紙で利用者に報告した。

説明会では、市の担当者が説明不足を謝罪した上で「絵本館としての設置目的に沿った在り方を追求すればするほど、今後さらに休止を余儀なくされる機会が増えると想定される。子育て支援を停滞させることは避けたい」と理解を求めた。加古さんのさらなる資料収集、保管、展示にもスペースが必要とした。

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