美術モデル「セクハラ訴訟」に感じるモヤモヤ

「環境型セクハラ」で思い出したある弁護士

そうすると、マッキノン理論では「こういう表現を好む人がいること、そしてそれを好き嫌いの問題として許容するあなたの反応が、女性が男性にとっての性の対象っていう男性支配的な価値観に侵されている」って返ってくる。

どれだけこっちが反論したとしても、いや、反論すればするほど、それ自体が「あなたや私の中に根づく男性優位の価値観の根深さの証拠」ってことになるだけ。もがけばもがくほどはまるアリジゴク。はじめから勝ち目がない議論なので、とりあえずなにも言わない方がいいよねという判断になる。

でもリアルな現実ってマッキノン理論で突き進めない

マッキノンの理論というのは完成度が高く、彼女が余りに毅然としていて、かっこよかったから、彼女から講義を受けた大学院の女の子たちは卒業するまでにその信者になって社会に出る。でも、必ず何年かして社会がそうは動いていないことに気づいて、信者をやめる。みんなやめる。そろってやめる。

それでもなんでも、それは社会の方が悪いのよ、男性優位の価値観が根づきすぎてるからと主張されると、アリジゴクにはまりたくないから、みんな下を向いてやりすごす。

マッキノンの理論はこんなに反論の余地がないし、確かに法律の一部は変えたけど、それ以上は全然広がらなかった。これはなぜなのでしょう?

マッキノンの議論というのは、とにかく「男の人が女の人を性の対象として、構造的に搾取してる」ということに尽きる。これが諸悪の根源。これを解決する。あとは知らない。

でも、現実の社会ってそんなにシンプルじゃないから。

まず、マッキノンはなんでも「男性」と「女性」の対立の問題に落とし込もうとするわけ。

たとえば私は女性でそれは私にとって重要なことだけど、でも、人ってそれだけじゃないんじゃん。独身で、法律を勉強していて、自分で言ってしまうけど高学歴で……いろんな要素によって「私」ができていくわけじゃない。私が何か生きにくさを抱えているとして、それはひとえに女性という性を持っているからかっていうと、そうでもないかもしれない。

もしかしたら高学歴ゆえのプライドの高さかもしれないし、打たれ弱さなのかもしれないし。もしかしたら単純に物事を斜めからしか見られない、歪んだ性格が理由かもしれない。

次ページこの世で最も重要な問題は男女の対立?
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