運賃高すぎ北総線裁判、驚きの「住民敗訴」判決 4年半審議の結論は「原告に訴える資格なし」

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北総線の運賃をめぐる2回目の住民訴訟は、原告適格なしという意外な理由で住民側の敗訴となった(写真:tarousite/PIXTA)

高額運賃で名高い北総線をめぐっては運賃認可した国を相手に住民訴訟が2つ起こされており、北総鉄道の株主である印西市の板倉正直市長による株主代表訴訟準備の動きもある。また、同線に頼らない交通機関として、住民が主体となってはじめた路線バス「生活バスちばにう」が運行されていることなどを本オンラインでも伝えてきた。

北総線は北総鉄道が京成高砂―印旛日本医大間32.3kmを運営する線で、同社は京成電鉄が株式の50%を保有する京成電鉄の子会社だ。沿線住民が高額運賃の不当性を訴える中、京成、北総側は、「国土交通省が認可したものであり、運賃は適正だ」と主張している。北総鉄道の平田憲一郎会長、室谷正裕社長はともに国交省OBで、平田会長は鉄道事業の許認可に携わる鉄道局長経験者でもある。

「訴える資格なし」とは?

住民が北総線の上限運賃認可を不当として国に認可処分取り消しを求めた第一次訴訟(東京地裁)が最高裁まで争われたが、住民敗訴に終わった。そのあとの第二次訴訟(東京地裁)は消費税が5%から8%に引き上げられた際に起こされた(第一次訴訟と原告は異なる)。国は消費税の引き上げ分の転嫁だけを審理して、その分の運賃値上げを認可したが、北総線の高額運賃そのものの審理をしなかったことが違法かどうかが争点となった。
その判決が3月14日に下され、原告には原告適格がないという理由で却下された。4年半の審理を経て下された判決が、原告適格なし、すなわち訴える資格がないという判断が出たことに、北総線裁判を見守る住民からは驚きの声が上がった。

実は、第一次訴訟は原告敗訴ではあるが、北総線を利用する住民に原告適格を認めていたので、第二次訴訟敗訴は意外なものと映っている。そこで、ここでは鉄道利用者が鉄道運賃を不当なものだとして司法による解決を求める場合の問題点について考えてみたい。

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