「休憩取れない」学力日本一・福井の教員の苦悩

実労12時間近く、残業月100時間超の教員も

全国学力テストで福井の子どもたちは上位を維持する。福井県外出身の教員が「教員の犠牲と子どもの忍耐で成り立っている」という福井の教育に働き方改革のメスを入れることはできるか=2018年4月、福井市内の公立中学校(写真:福井新聞)

午後8時を過ぎても、ほとんどの教員が職員室に残っている。残業が毎月100時間を超えるという福井県内の30代公立中学校教員は「現場の教員はタイムカードを切ってから仕事を続けたり、家に持ち帰ったりしている。自分が割りを食う分には文句を言われない」と話す。

昨年9月の福井県教委の調査によると、県内公立中学校教員の平均勤務時間は平日1日当たり10時間51分。「休憩」の1時間を除いているが「休憩なんて全く取れない」。実働は12時間近いが、それでも2年前に比べ31分短くなった。土日の部活動を含めて月80時間以上残業する教員は26・8%。2年前から19・4ポイント減った。

県教委は今年2月に働き方改革の方針を策定し、2021年度までに残業80時間超の教員ゼロを目標に掲げた。この教員は「県教委の方針に『これはしなくていい』という具体的な内容はない。学校の管理職も『早く帰れ』と言うだけで仕事の量は減らさない。調査の数字は実態を表していない」と淡々と語る。

福井県内の公立中学校で働く県外出身の30代教員は、「福井の教育は教員の犠牲で成り立っている」と考えている。さらに「宿題をやり遂げる子どもの忍耐と家族の叱咤激励でも成り立っている」と続けた。

宿題の多さも福井の特徴

「福井に比べ、宿題があまりに少なくて驚いた」。夫の転勤で子どもを県外の公立中学校に通わせたことがある福井市の会社員女性(35)は「福井に戻ってからは、子どもに全部やらせるのが大変」とこぼす。

宿題の多さは、全国学力テストで福井の子どもたちが上位を維持する要因の一つとされる。特に中学では、学年共通の宿題に加え、各教科担任からも出される。福井県義務教育課の浦井寿尚課長は「宿題は教員が丸つけや添削をする必要があり、出せば出すほど教員にも負担になる」として、宿題の多さは「学習塾に通わなくても学びを定着させてあげたいという教員の熱意の表れでもある」と話す。

現場には疑問もある。県外で勤務経験がある30代公立中学校教員は「宿題を全部提出できる子どもが基準で、個々の能力や特性に応じた内容や量になっていない」と指摘する。

県の教育行政には、知事の考えが大きく影響する。文部科学省から出向している福井県教育政策課の片柳成彬課長は「市町が所管する小中学校に多くの県費を投じて支援しており(県の)影響力が大きい」と他県との違いを挙げる。

現在の県教育大綱の期間は19年度まで。新しい知事の考えが、次の大綱に反映される。県外出身教員は「福井は『学力日本一』という結果が出ているだけに、働き方改革のメスを入れることができるのだろうか」と厳しい目を向けた。

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