ポストGoProの「Insta360」は一体何が凄いのか 「360度カメラ」がビデオカメラを駆逐する

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ソフトバンクC&Sの「Insta360 EVO」。折りたたんで撮影することで360度撮影が可能となる(筆者撮影)

ソフトバンクC&Sが3月14日に予約を開始した「Insta360 EVO」(直販価格5万6570円)は、昨年モデルの「Insta360 ONE X」とともに、ビデオカメラ市場に大きなインパクトを与えるかもしれない。

両製品はいずれも「全天球カメラ」と呼ばれるジャンルの製品。Insta360はブランド名で、開発は中国とアメリカに拠点を持つShenzhen Arashi Visionが開発している。

昨年10月に登場したInsta360 ONE Xは、5.7K(長辺が約5700画素の高精細映像)から、3Kながら毎秒100フレームの高速撮影(スローモーション撮影)までの撮影を高画質にこなしつつ、小型軽量かつ5万円台の低価格を実現。別売りにはなるものの、防塵防滴を実現するハウジングを用意することで、GoProが君臨するアクションカム市場に食い込んできている。

新製品の「Insta360 EVO」の特徴とは?

新製品のInsta360 EVOはONE Xとほぼ同等のスペックを実現しつつ、180度(半球)の3D映像を撮像する機能も同時に備える機構設計が与えられた。180度3D撮影した映像は、VRコンテンツとして楽しむことができる。

撮影した360度、180度VR映像は専用アプリを用いてスマートフォンに簡単に取り込める。BluetoothとWi-Fiを併用するため手順も簡単だ(筆者撮影)

360度映像は独自の再生環境がウェブ上で用意されているほか、Facebook、Instagram、YouTube、LINEなど、多くの動画共有サイトやSNSがサポートしている。また、VR映像もまたYouTube、Facebookで利用できるほか、国内の360度映像サイト「360 Channel」で視聴可能だ。

全天球カメラは魚眼レンズを2つ背中合わせに搭載し、両映像を合成することであらゆる方向の映像を記録する。このふたつのカメラを横並びにすることで、360度映像とVR映像の両方に対応する。

このジャンルに先鞭を付けたのは、2013年に発売されたリコーのTHETAだった。

撮影者の位置から見えるすべての風景が映され、見返す際にはどの方向でもシーンを再現できる全天球カメラは、スマートフォンや一般的なカメラでは実現できない独自の世界を切り開き、静止画、動画の両面で新しいカメラ市場を生み出した。

しかし近年の高画質化と低価格化により、360度カメラ市場は急伸し始めた。GoProが切り開いたスポーツ向けアクションカムの市場を置き換え、さらにファンを集める魅力的な製品に進化してきたからだ。

リコーが初代THETAを発表した頃は、画質面で十分に成熟しておらず、動画撮影機能も備えていなかった。しかしその後の改良や競合メーカーの参入、各種動画サイトやSNSによるサポートが続き、動画撮影機能はもちろん、静止画、動画ともに十分な画質を持つようになってきている。

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