代々木八幡駅「大工事」で小田急はどう変わるか ホーム延伸で新宿発着の各駅停車が10両に

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2019年3月16日のダイヤ改正で10両編成対応の新ホームに切り替わる小田急線の代々木八幡駅。駅舎も新しくなる(記者撮影)

昨年春の複々線化完成によって大幅な輸送力増強を果たしたものの、ターミナル駅の新宿を発着する各駅停車は最長でも8両編成にとどまっていた小田急線。3月16日のダイヤ改正で、ついに10両編成の各駅停車が新宿に乗り入れる。

小田急は同日から、従来は8両編成までしか停まれなかった代々木八幡駅(渋谷区)のホームを、新設した10両対応のホームに切り替える。同駅を除く新宿―新松田(神奈川県松田町)間各駅のホームはすでに10両分の長さを確保しており、これによって新宿発着の各駅停車も、快速急行や急行、東京メトロ千代田線直通の各駅停車などと同じ10両編成での運転が可能となる。

今回のダイヤ改正で、新宿発着の各駅停車は平日上下24本、土休日18本が10両での運転となり、小田急は輸送力の増強をPRする。1駅の改良が全体にもたらす効果はどの程度あるのだろうか。

踏切を移設しホームを新設

代々木八幡駅は新宿から数えて3つ目、新宿から南下してきた線路が西へ向けて大きくカーブする位置にある。付近には代々木公園や落ち着いた住宅街が広がり、1つ先の代々木上原で接続する千代田線の代々木公園駅が隣接する。停まるのは各駅停車のみで、1日の平均乗降客数は小田急全70駅中53番目の約2万500人(2017年度)だ。

工事中の代々木八幡駅。上下線に挟まれた空間に新ホームを建設している=2017年11月(記者撮影)

小田急は2010年以降、同駅を含む新宿―代々木上原間の中間3駅で、各駅停車の10両化に向けホームの延伸を進めてきた。ほかの2駅は工事が完了する中、代々木八幡駅だけが8両分のホームのまま取り残されてきた最大の理由は、両端を踏切に挟まれており、そのままでは延伸が難しかったためだ。

このため、工事にあたっては代々木上原寄りにある「代々木八幡1号」踏切を約35m移設して延伸用のスペースを確保。ホームは上りと下りが別々となった従来の相対式ホームを延ばすのではなく、上下線の線路の間に10両編成対応の島式ホームを新設した。既存ホームの延伸ではなく新設としたのは「相対式ホームを延ばそうとすると線路の外側にある道路に影響が出るのと、ホームの幅を確保するため」(小田急電鉄工務技術センターの町山友和統括所長)という。

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