若手が敬遠する「50代後半社員」の独善的な言動 昔の武勇伝やヤンチャ話なんて聞きたくない

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「老害」と言われてしまう人の特徴とは?(写真:Ushico/PIXTA)

人生100年時代、企業の雇用を70歳まで延ばす案が政府で検討されているという。破綻待ったなしの年金支給開始時期をなんとしても遅らせたい、という意図をビンビンと感じるが、もう1つは「老後の暇な生活に耐えられない人々の救済(という名の職場への福祉押し付け)」の面もあるだろう。

政府や官僚は「即戦力としてのシニアの活用」みたいなきれいごとを言うが、職人やあまりにも矍鑠(かくしゃく)としたカリスマ創業経営者以外の高齢者が、現場でバリバリと仕事をしている姿はあまり想像できない。

むしろ「老害の跳梁跋扈」「世代間闘争と高齢者差別」をもたらすだけになるのでは、と思ってしまうのである。

「老兵の美学」

地方都市はさておき、平気で転職したり友人と一緒に会社を作ったりする若者が多い今、企業の雇用を70歳まで延ばしてはたして何になるのか? 現在45歳の自分は、この「70歳定年」にモロにぶつかる世代になると思うが、正直55歳を過ぎたら仕事の現場で居場所はもうないのでは、という恐怖感を抱いている。

安倍政権は「一億総活躍社会」の実現を目指しているが、「高齢になってまで活躍したくない」というのが55歳を過ぎたあまたの凡人が抱く感覚だろう。それ以降にも活躍したいと凡人が考えたのであれば、それはもはや「老害」かもしれない。老いた者はそれなりの場所に引っ込むという姿勢が、後進の活躍のためには必要なのではなかろうか。それが「老兵の美学」だと個人的には考える。

20年前に私が唯一勤めた会社は社員数約3000人の広告代理店大手だったが、当時の60歳定年制の時代、54歳を過ぎて出世していない人々は、それはそれは優雅な会社員生活を送っていた。

彼らだけが集められた部署が存在し、その部署は広大な執務室の隅っこにあった。9時30分が定時なのだが、11時頃「外回り」(本当かよ?)をしたうえで出社し、17時30分の定時を前に16時台には「外→NR」(NR=not returning 職場では「ノーリターン」と言われていた)とホワイトボードに書いてどこかへ行っていた。

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