「技能」で勝負!ダイキン支える137人の熱闘

AI時代だからこそ追い続ける、匠の技

「技術の進歩により、人間がやっていた仕事が機械の仕事に置き換わることは当然あるでしょう。だからこそ、人の手でするべき部分と機械に任せるべき部分、それぞれのすみ分けが重要になります」と、藤縄氏は力強く語る。「例えば製造ラインに機械を入れるのも、その機械のプログラミングをするのも人間。その時、製品の仕組みや作り方といった”原理原則”を理解していることが大前提です」。

ものづくりには「生産」と「生産技術」という2つの柱がある。このうち「生産」を構成するのが、技能と「PDS」。PDSとは”Production of DAIKIN System”の略で、ものづくりに対する基本的な考え方を示したもの。世界中で多機種のエアコンを提供し続けているダイキンの、生産部門における軸となっている概念だ。この「生産」に、生産ラインの自動化や最新のテクノロジーなどからなる「生産技術」が加わって初めて、高品質なエアコンを安定的に作ることができる。

加えて、ダイキンの商品はショッピングモールなどの大型空間を空調するアプライド商品や店舗、オフィスなどの業務用エアコンから、フラッグシップ商品「うるさら」に代表されるルームエアコンに至るまで非常に幅広い。機能やデザインのマイナーチェンジも頻繁に行われるため、製造過程をすべて自動化するのは不可能だ。

ダイキンはIoTなどテクノロジーをフルに活用し、熟練技能を効率良く次世代に継承するべく取り組んでいる

そんな中、技能伝承にも最新テクノロジーを活用するべく、ダイキンは日立製作所と協働して「ろう付け教育支援システム」を開発している。「IoTや画像解析技術を応用して、定量的な評価や解析を行い、技能を効率的に伝承させるものです。例えば部品を接合する時の手の角度1つとっても、勘とコツがものをいう世界。それをテクノロジーの力で、正確かつ迅速に伝承できるようになるんです」(藤縄氏)。

IoTを活用して、優れた技能伝承の一助とする。さまざまな角度から社員の成長を図るこうした取り組みは、まさにダイキンが創業以来の理念としている「人を基軸におく経営」にもつながる発想だ。

技能者たちを鼓舞する、ステージアップの仕組み

今年の表彰式の様子。海外勢も多くいる

さらなる技能者の育成強化を目指し、ダイキンが10年前から導入しているのが「マイスター・トレーナー制度」だ。とくに卓越した技能と指導力を持つのがマイスター、それに準ずる力を持つのがトレーナー。技能オリンピックからトレーナーが生まれ、彼らがさらに優れた力を身につけてマイスターに昇進していくというサイクルが確立されており、技能者たちのモチベーション維持に大きく貢献している。

彼らの成長を間近で見ている藤縄氏は、今後の展望についてこう語る。「現在、マイスターは40名、トレーナーは120名います。16年には中国、北米などでも技能伝承委員会が設立され、日本と同様に技能伝承を協議できる体制が整ってきました。今後もグローバル規模で、優れた技能者の育成に邁進していきたいですね」。

ダイキンはこのように、これまで育んできた技能を伝承しながら、AIやIoTなど最新技術の活用もさらに推進していく考えだ。業界を牽引する空調専業メーカーとして、高品質なエアコンを世界中に届けている同社。”世界同一品質”の実現に向けた飽くなき挑戦は、これからも続いていく。

関連ページAD
お問い合わせ
ダイキン工業
連載ページはこちら