株価は「過度の楽観」で今後さらに深刻になる 実態以上に戻り過ぎた「代償」を払う時が来る

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アメリカの株価は再び史上最高値に手が届くところまで来ている。だが実態とかけ離れた「戻り過ぎ」なら、その後の下落もかなりのものになりそうだ(写真:AP/アフロ)

前回のコラム「日経平均2万1000円回復でも全く消えない懸念」(2月18日付)で、「実体経済・企業収益が着実に悪化しているにもかかわらず、主要国の株価上振れが進んでおり、それは期待し過ぎの状況である」と述べた。

株価は懸念した通り、戻り過ぎている

このため、中期的な流れとしては、株価はいずれ大きく下落すると予想していたが、前回のコラムでは一方で「一般的に市場においては、株式市況が今のように期待し過ぎの状況に陥っても、それがさらに期待し過ぎになり、もっと期待し過ぎになる、ということは、しばしば生じる。このため短期的には、アメリカの株価と並行的に、日経平均株価が2万1000円超で上値追いの様相を強めることもありうるだろう」とも書いた。実際のところ、「懸念したように」足元の日経平均は2万1000円を超えて、上値追いの動きを強めている。

株価が上昇したことを「懸念した」とは何事かと、お叱りを受けるかもしれない。もちろん、世界の経済や企業収益がどんどん回復し、それに連れて株価が上昇していくのであれば、喜ばしいことだ。しかし後述のように、実体経済も企業収益も悪化の一途をたどり、深刻な状況へと歩を進めている。加えて、国際政治も底流で悪い方向へと変わりつつあるようだ。ということは、今の楽観にとらわれた株価(楽観に走り過ぎているのは、これも後述のように、株式市場だけではない)が、いずれ大きく下落することは不可避だろう。

昨年12月までの株価下落が余りにも急であったため、いったん株価が戻ること自体はおかしくない。だが問題は実態からかけ離れ上下に動く結果、その影響が深刻化することだ。

ここで仮に本来であれば、株価が1戻って、その後実態経済の悪化に沿って、3下落したはずだ、としよう。もちろんこの1や3といった数字は、あくまでもイメージであって、実際の値幅を正確に表したものではないことを前提にお読みいただきたい。すると、実体経済悪により、差引2だけ株価が最終的に下落することになる。この2の下落が、実態経済の悪化の程度に適合したものだとしよう。

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