サンドラッグ「銀座一等地」に進出する真の狙い 銀座のど真ん中に店を構えたが採算は合う?

拡大
縮小
1月にオープンした銀座中央通りにあるサンドラッグ銀座6丁目店(記者撮影)

東京・銀座中央通りには、数多くの高級ブランド店や複合商業施設「GINZA SIX」が店を構える。この地に、東京西部を地盤とするドラッグストア大手のサンドラッグが「サンドラッグ銀座6丁目店」を1月19日に開店した。GINZA SIXの通りを挟んだ真向かいという、まさに銀座の“一等地”である。

銀座は訪日中国人にとって、特に人気のある観光スポットだ。中国検索サイト大手のバイドゥが直近1年で日本に旅行経験のある北京市と上海市在住の約1000人にアンケートを取ったところ、関東圏で買い物に費やした時間が最も長かったのが銀座だった(2018年4月中旬~5月初旬調べ)。その銀座の中心部に、サンドラッグが攻め込んできたのだ。

考えられる「2つの思惑」

ローコストオペレーションと安売り戦略を貫くサンドラッグは、これまで郊外型店舗を数多く出店してきた。現在は、直営店の約7割を郊外型店舗が占める(2018年12月末時点)。今回はなぜ、銀座の一等地に出店したのか。

会社側に銀座への出店理由をたずねると、「たまたまいい空き物件があったので、手を挙げただけ」との素っ気ない回答だった。ただ、この言葉を真に受けるわけにはいかない。出店理由として、2つの戦略的な狙いが考えられる。

1つ目が、競合チェーンのひとつであるマツモトキヨシへの対抗だ。マツモトキヨシは銀座の中心部に5店舗以上を構え、ドミナント戦略を展開している。日本不動産研究所の古山英治氏は「ライバルの銀座での拡大戦略に待ったをかけることが、サンドラッグの狙いだろう」と見る。

2つ目が、訪日外国人への認知度向上である。多くの観光客、特に中国人で賑わう銀座で出店することは、宣伝効果が期待できる。「銀座の新店舗に、広告塔としての役割を持たそうとしているのではないか」(古山氏)。

この新店は免税対応しており、訪日中国人を意識した店作りになっている。2月10日に実際に店舗を訪れると、多くの中国人観光客でにぎわっていた。店頭には「最大約13%OFF」と中国語で書かれた特別クーポン券が、ずらりと並べられていた。店内に進むと、中国人に人気のある日本ブランドの化粧品が陳列されていた。中国語のPOP(店内掲示)も貼られている。もちろん、中国語が話せるスタッフも配置されていた。

次ページ家賃負担をまかなえるのか?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
【逆転合格の作法】「日本一生徒の多い社会科講師」が語る、東大受験突破の根底条件
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT