ルネサス急ブレーキ、のしかかる1兆円買収

今春1000人リストラ、見えぬシナジー効果

2018年12月期は減収減益に沈んだルネサス(記者撮影)

半導体大手・ルネサスエレクトロニクスの業績に視界不良のもやがかかっている。

2017年から立て続けに大型の海外買収を決め、攻めの姿勢を鮮明にしていたが、肝心の業績がついてきていない。2月8日に公表した2018年12月期決算は、在庫整理で工場の稼働率が下がったことなどを背景に減収減益に沈んだ。今春には開発や総務部門を中心に従業員の約5%にあたる1000人規模の希望退職を募る。コスト改善を急いでいるが、業績回復の道のりは平坦ではない。

2018年12月期の売上高は前期比2.9%減の7573億円、営業利益は同14.8%減の667億円だった。2017年12月期の売上高が前期比(2016年1月~3月期と2016年4月~12月期決算の合計との比較)で約2割増だったことを考えると、これまで順調に進んできたかに見えた業績回復の流れが曲がり角にさしかかっていることは明らかだ。

在庫整理で工場稼働率が大きく低下

減収減益の主な原因は、自社と販売代理店にたまった在庫整理に伴う工場稼働率の低下だ。2016年の熊本地震で供給が止まり、品不足が発生した教訓もあり、取引先の半導体商社がそれ以前よりも在庫を多く積み増すようになった。しかし、2018年にルネサスの売上高が鈍化した際にこの問題が顕在化。2018年夏ごろから工場の稼働率を下げて在庫調整に着手し、在庫減らしの代償で利益率も急速に悪化してしまった。

この影響は2019年も残りそうだ。棚卸資産は2018年9月末の1415億円から12月末には1180億円へ、235億円減少した。これは、会社側が適正とする2017年6月末と同程度の水準だ。

同時に、2018年12月末時点の工場稼働率は55%強(半導体ウエハの工場への投入量ベース)まで下がった。今年3月までに稼働率は約10%上昇するというが、それでも在庫調整を始める前の80%台と比べると低いことに変わりはない。一方で代理店が抱える流通在庫は減っておらず、今後に不安が残る。

2019年1~3月期の業績は、世界経済の減速による需要減も重なって売上高は1500億円強、前年同期比で約17%の減収を見込んでいる。利益率も大きく下がる。具体的な数字をルネサスは示していないが、2017年に買収したインターシルののれんを除く無形固定資産の償却などを加味すると、税引き前利益はおそらくほぼゼロ近くに減少する。2019年12月期から国際会計基準(IFRS)に移行することにより、のれん償却費を立てなくて済むようになったことで、かろうじて赤字転落を免れる状況だ。

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