「沖縄をなめるな」に若者たちが見せた連鎖反応

分断と歴史、葛藤の島でもがく若者たち(4)

アイデンティティーに目覚め、立ち上がった沖縄の若い世代は「対話」というボールを投げかけた(写真:Siberian Photographer/iStock)  
いま沖縄では、若い世代の動向に注目が集まっている。アメリカ軍基地に翻弄される苦難を味わってきた戦後世代とは別に、生まれたときから基地と共存してきた世代ゆえの葛藤を抱えた若者たち。辺野古新基地建設の是非を問う県民投票にこぎ着けた彼らの胸中を追いながら、苦悩する沖縄のいまを探る。
【第1回】沖縄の彼女が波風立てても世に伝えたいこと(2019年1月30日配信)
【第2回】沖縄の若者が「戦後世代」との間に見る高い壁(2019年2月3日配信)
【第3回】沖縄の世論を動かした若者たちの断固たる行動(2019年2月10日配信)

沖縄で若者の政治参加が注目されるきっかけとなったのは、アメリカ軍の新基地が建設される辺野古の地元で争われた2018年2月の名護市長選だった。

基地建設反対を掲げて3期目を目指す稲嶺(いなみね)進氏は敗れ、当選したのは、基地建設への態度を明らかにしていなかった政権与党の推す渡具知(とぐち)武豊氏だった。その選挙対策本部の青年部長を担っていたのは、当時は琉球大学4年生だった会社員の嘉陽(かよう)宗一郎さん(24歳)だった。

名護市に生まれ、幼いころから選挙のたびに基地の是非が争点となっていた。街は賛成・反対に分断され、ギスギスする大人の対立を見て育った。理想としては、辺野古新基地建設には反対だ。だが、一方では街を活性化させることも大切だ。「究極のリアリスト」を自認する嘉陽さんは、いわば基地容認派だ。

故・翁長雄志前知事が辺野古に反対していた理屈はわかる。だが、長い歴史を振り返ったときに、どうやっても覆らない政府の方針に逆らうより、生活を守るという現実的な選択も必要だと考えた。沖縄本島の北部に位置する名護市は、中部と比べて産業は衰退し人口も減っていた。稲嶺市政の8年間で街には閉塞感が漂い、とても活性化したとは思えなかった。

嘉陽さんの言う閉塞感には、2通りの意味がある。1つは、基地建設反対にこだわるあまり、市民生活に関わる行政が停滞すること。もう1つは、基地をめぐる分断で、モノが言いづらい環境にある。彼自身、基地容認派というレッテルが貼られ、素直に話を聞いてもらえないこともあった。

基地容認の青年部長が駆使したSNS

嘉陽さんは大学生のころに、学生を集めるイベントを企画する団体を立ち上げた。各界で成功している著名人を集めての講演会を開き、若い人の離職率が高い沖縄でも夢を追いかけてほしいという狙いだ。ネットでブログやツイッターで発信し、フォロワーが3000人近くいる。

名護市長選で渡具知陣営から青年部長として招かれたのは、若手のオピニオンリーダーとしての才覚を認められたからだ。政治に興味があったわけではないが、社会と関わっていくうちに政治を避けては通れなくなっていた。

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