聴覚障害の45歳男性が林業で目指す就業への道

渡部充郎さん「仲間の助けあれば何事も可能」

巧みにチェーンソーを操る渡部充郎さん=福井県鯖江市河和田町(写真:福井新聞)

自転車日本一周が縁で、福井県鯖江市の民宿に身を寄せる聴覚障害者の男性がいる。福井しあわせ元気大会(全国障害者スポーツ大会=障スポ)で、金メダルを2個獲得した。現在は林業に携わることを目標に、チェーンソーの扱いに関する講習を受けるなど技術向上に励んでいる。男性は「障害者の可能性が広がれば」と話している。

山口県出身の渡部充郎さん(45)。2014年から始めた日本一周の旅の途中、15年5月に鯖江市を訪れた。河和田町の農家民宿「椀de縁(わんでえん)」で触れた茶道の世界や、おかみ荒木真弓さん(57)の自然との共生に対する考え方に共感し、この地にとどまることになった。

「林業が障害者の選択肢の一つとなってほしい」

さんの民宿での仕事は、畑の開墾や樹木の剪定(せんてい)など。その際に使うチェーンソーの操作方法や手入れの仕方について、より専門的に学ぼうと昨年11月、林業・木材製造業労働災害防止協会が主催する講習会を愛知県支部で受講した。林業に携わる人や高齢のボランティアら約50人と一緒に座学や実技で学び、無事に修了証を受け取った。渡部さんの慣れたチェーンソーの扱いに講師も驚いていたという。

現在は地域のお年寄り宅の庭木の剪定や、台風で倒れた市道の樹木の撤去などもボランティアで行う。林業への就業を目指す渡部さんは「仕事として受けたい。講習会の修了証があることで相手の信用にもつながるはず」。さらに自身が林業で活躍することにより「担い手不足になっている林業が、障害者の選択肢の一つとなってほしい」と未来像を描く。

昨年、中央省庁や地方自治体などで明らかになった障害者雇用の水増し問題。障スポで陸上選手として躍動した渡部さんは、大会に多くの県民が関わって成功させたことが、県内で障害者への理解につながるよう願う。「障害者であっても仲間の助けがあれば何事も可能だと分かってほしい」

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