東京マラソンを創った男の陸上界「創造と破壊」 ランブーム再び、陸連が取り組むRunLink構想

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2018年の東京マラソンのスタート地点のようす(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

3.1倍が12.1倍に――。この数字を見てピンとくる人は、どれくらいいるだろうか。

これは、東京マラソンの当選倍率の推移だ。2007年に初開催され、3月3日に13回目の開催を迎える東京マラソンは「幸運なランナー」だけが東京の街並みを駆け抜けることができる。

目前に迫った「東京マラソン2019」では、2万7370人という一般募集の定員に対し、33万271人と、過去最高の応募者数を集め、相変わらずの人気ぶりを示した。

ランニング人口減少、二極化した大会の今

東京マラソンは、マラソンブームの火付け役として、市民ランナー増加に大きく貢献した。また、一般財団法人東京マラソン財団の発表によれば、2017年の東京マラソンの日本全体への経済波及効果は約284.2億円と推計され、大きな経済活性化をもたらした。

ただ、業界全体はややピークアウトしたような形だ。笹川スポーツ財団の調査によると、年1回以上ランニングする「ランニング人口」は2012年の1009万人をピークに減少に転じ、2016年には893万人。

東京マラソンのような人気大会ばかりではなく、定員割れの大会を地元自治体が公金を支出して穴埋めしたり、開催終了に追い込まれるケースもある。

さらに、大会運営上のトラブルも起こる。2014年12月21日に開催予定だった「東京・荒川マラソン」は、会場の利用申請すらされておらず、開催直前に突如中止、大きな混乱を招いた。

ボランティア不足による運営の混乱、会場までの動線設計やコース設計のミス、計測トラブルなどにより、大会運営に支障を来すケースも多発している。医療態勢の確保や地域住民とのトラブル回避など、大会運営側に求められる課題は山積している。

そんな中、2018年11月、ランニング業界にとって「次の一手」が発表された。公益財団法人日本陸上競技連盟(以下、陸連)が、市民マラソン大会の統括・支援、個人のライフスタイルに合わせたランニングを楽しめる環境・機会を提供するための新プロジェクト「JAAF RunLink」(以下、RunLink)を発表したのだ。

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