哲学が「体育会系」の学問だと確信できる理由

知識取得ではなく自らの感覚変化こそ重要

東京大学教授・梶谷真司さんは、学校や企業、地域コミュニティで5~20人ぐらいが輪になって座り、ひとつのテーマについて話し合う「哲学対話」を実践してきたそう(写真:KatarzynaBialasiewicz/iStock.com)
東京大学教授・梶谷真司さんは、5~20人ぐらいが輪になって座り、ひとつのテーマについて話し合う「哲学対話」を、学校や企業、地域コミュニティで実践してきました。その活動を通して「考えること」について考えた一冊が『考えるとはどういうことか――0歳から100歳までの哲学入門』。梶谷さんが言う「生きているかぎり、いつでも誰にでも必要な哲学」とは、考えることそのもの。それは、知識を得ることではなく、体験することなのだそうです。でも、哲学って、いったい体験なんてできるものなのでしょうか?

問い、考え、語る。分からないことを増やす。

数年前から、哲学対話に限らず、子どもを相手に哲学を教える機会が増えている。そのさい私が心がけているのは、哲学の思想や概念などの知識を伝えることではなく、彼ら自身が哲学的に考えること、言い換えれば、哲学を「体験」することである。そこでとくに中高生に対しては、簡潔に「哲学とは問い、考え、語ることです」と説明している。

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私たちは、「問う」ことではじめて「考える」ことを開始する。思考は疑問によって動き出すのだ。だが、ただ頭の中でグルグル考えていても、ぼんやりした想念が浮かんでは消えるだけである。

だから「語る」ことが必要になる。きちんと言葉にして語ることで、考えていることが明確になる。そしてさらに問い、考え、語る。これを繰り返すと、思考は哲学的になっていく。

それで小学校では、この「問う」をもっと強調して、「分からないことを増やそう」と言っている。学校をはじめ、世の中では、いろんなことを学んで分かることを増やし、分からないことを減らすのがいいとされる。哲学はその真逆である。分からないことがたくさんあれば、それだけ問うこと、考えることが増える。だから、どんどん分からなくなるのがいい、というのが哲学なのだ。

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