社長交代の東京海上、「脱・自動車保険」の難題 損保代理店の8割は自動車保険に5割超依存

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中央右が東京海上HD新社長の小宮暁氏、中央左が東京海上日動新社長の広瀬伸一氏(写真:梅谷秀司)

国内保険大手の東京海上ホールディングス(HD)は1月、HDと主要子会社である東京海上日動火災の両トップを交代させる人事を発表した。2019年6月下旬の株主総会後に小宮暁専務(58)がHDの新社長・グループCEOに、東京海上日動の新社長にはHDの広瀬伸一専務執行役員(59)が4月1日付で就く。

HDの現社長・グループCEOの永野毅氏(66)は会長に、東京海上日動の現社長の北沢利文氏(65)は同社副会長に就任する。

2002年に東京海上グループの持ち株会社としてHDが発足(当時はミレアホールディングス)して以来、HDと東京海上日動の社長は1人が兼務するのが通例だった。それが変わったのは2016年4月から。北沢氏が東京海上日動の社長に就任し、それまで両社の社長を兼務していた永野氏がグループ経営強化を狙いとして、HDの社長専任となった。

新トップはともに海外担当役員

「新体制に移行してから北沢さんとともに二人三脚で取り組んできた。約3年が経過し、軌道に乗ってきたこともあり、若い2人の経営者にバトンを渡すよいタイミングだと考えた。スピーディに新しいことに果敢にチャレンジしてもらいたい」。1月の記者会見で永野氏はこうエールを送った。

小宮氏は、国内営業や人事などを経て、2016年からHDで海外事業を担当し、現在は海外事業総括として陣頭指揮を執る。一方、広瀬氏は商品企画や東京海上日動あんしん生命社長などを経て、2017年からHDの海外事業を担当し、現在はアジア生保の戦略担当だ。新体制の経営トップ2人が海外部門の担当役員というのも偶然ではない。

東京海上は2000年代以降、欧米で大型のM&Aを矢継ぎ早に行った。2008年の英キルン(買収金額1061億円)、同年のアメリカ・フィラデルフィア(同4987億円)、2011年のアメリカ・デルファイ(同2050億円)、そして2015年にはアメリカ保険大手HCCを国内金融機関として最大規模の9413億円で傘下に収めた。これらのM&Aにより、収入保険料は右肩上がりで拡大。2017年度末のHDの利益の約4割をたたき出すまでになっている。

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