3年目の苦戦「トランプ一般教書」3つの注目点 経済や中国についてどんな発言をするか

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2月5日(日本時間6日)にようやく行われるトランプ大統領の一般教書演説での注目ポイントは?(写真:Kevin Lamarque/ロイター)

2月5日(日本時間2月6日)に、米国のトランプ大統領が一般教書演説を行う。政府閉鎖によって異例の1週間遅れとなったが、トランプ政権の今後を占ううえでは、3つの重要なポイントがある。民主党との距離感、具体的な政策メニューの提示、そして、経済に対するメッセージだ。

最も重要なポイントは、民主党との距離感である。あくまでも対決姿勢を貫くのか、それとも、歩み寄りの手がかりを与えるのか。今後のアメリカ経済の行方にも、大きな影響を与える論点である。

すでに民主党との「第1ラウンド」は負けている

一般教書演説に臨むドナルド・トランプ大統領の立場は、これまでよりも弱い。何といっても、これまでの演説と大きく異なるのは、会場である米下院にトランプ大統領を招いたのが、民主党のナンシー・ペロシ下院議長である点だ。昨年11月の中間選挙で、共和党は下院多数党の座を失った。上院と下院で多数党が異なるねじれ議会となった以上、トランプ大統領が持論を立法化するには、民主党の壁を突破しなければならない。

新しい議会の会期は今年1月に始まったばかりだが、すでにトランプ大統領はペロシ下院議長との第1ラウンドに完敗している。トランプ大統領は、昨年12月から始まった政府機関の閉鎖において、ペロシ下院議長が率いる民主党の抵抗を崩せず、持論であるメキシコ国境への壁の建設費用を得られないまま、2月15日までの閉鎖解除に応じざるをえなかった。1月29日に予定されていた一般教書演説も、ペロシ下院議長の意向に押し切られ、1週間遅れでの実施を余儀なくされている。

一般教書演説で注目されるのは、ペロシ下院議長との第2ラウンドに向けて、どのような方針が明らかにされるかだ。2月15日までに対立が解消されなければ、政府機関は再び閉鎖される。

トランプ大統領の直感は、あくまで壁の建設費用を求め、支持者に民主党との対決姿勢を改めて印象づけることだろう。トランプ大統領の支持率は、政府閉鎖で低下したとはいえ、共和党の支持者に限れば、それほど揺らいでいない。頼りとするコアな支持者に幻滅されるとすれば、公約である壁の建設をあきらめた時かもしれない。

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