エアコンだけで2兆稼ぐ、ダイキンの凄み

各国ばらばらの製品いち早く投入できる理由

インドでは高外気温に耐えられる室外機を実験を重ねて開発した

「ほかの家電って売り切りでしょう。商品を並べておけば、お客様が選んでくれます。でもエアコンは違う、据え付けが必要なんですよ。自前で据え付けのできるディーラーを教育するには時間と手間がかかる。それが参入障壁になっています。うちはアジアでは、卸や量販店を通さない自前の販売網、サービス網をつくってきました。それらを通じてエンドユーザーにダイレクトにコンタクトできるのも強みです。

そのため、市場に合ったよい製品さえできればチャンスがあると思っています。しかもダイキンは工場や開発センターなどのインフラを現地につくっているので、商品を輸入して販売するケースと違って、市場から簡単には撤退できないじゃないですか。

販売店も、ダイキンは腰を据えて付き合う覚悟があることをわかっているから、安心してうちのディーラーさんになってくれる。今考えると、メーカーとしてエアコン事業を軸としたダイキンは、なんて幸運な会社やろと思います」

一見すると生産、開発だけでなく販売、サービスまで自前のインフラを現地に構築するのは非効率だ。だが、空調しかない専業メーカーだったからやるしかなかったという。

「空調専業だから、すでに更新需要が中心になっていた日本だけでは生き残れないという危機感を持って早くから海外に出て行った。でも、専業だからこそ空調に絞って投資もしてこれたんです。

それに空調は、商品は住宅用エアコン、業務用エアコン、アプライド(産業用エアコン)の大きく3種類です。めちゃくちゃシンプルな商売ですけど、空調だけで売上高が2兆円なんてびっくりしませんか」

ほかの事業に投資を行う必要がなく、技術や製品の開発、販売網、サービス網の構築、さらにはM&Aのような経営戦略も空調事業だけに絞って投資ができる。それは海外展開をするうえで大きなアドバンテージになっている。

「ダイキンは現場を尊重するから、現場から『市場のほとんどはボリュームゾーンです。東南アジアやインドでハイエンドを売ったってちっちゃな商売にしかなりません。ボリュームゾーンで行きましょう。投資してください』と言われて決断できる。そういう挑戦のできる風土のある会社だから、ここまでやってこれたんではないかと思います」

今後は、サービス市場にチャンスがある

中には、ダイキンの好調ぶりを見て、空調事業に参入してくる企業もあるというが、この20年にわたり空調だけに投資を続けてきたダイキンとの地力の差は歴然だ。

しかも、東南アジアやインドは人口の平均年齢が低く、中間所得者層の増加が見込める成長市場だ。人口規模で言えば、インドネシアは約2億6000万人、ベトナムは約1億人、インドに至っては約13億人(外務省・総務省調べ)と、アジアには日本と同じ規模、それ以上の市場がいくつもあることになる。

「つまり、アジアを押さえることは、日本市場をいくつも押さえるようなもの。それにエアコンは1家に1台どころか各部屋に1台です。市場を育てることで、アジアはさらに大きくなると思っています」

そこでカギとなるのが、サービス網だという。

「いま、なんで人口2400万人のオーストラリアが伸びてるかと言ったら、800億という機器の販売と同じくらいのサービス、メンテナンス市場があるからです。アジアでも、そういうのが増えてくる。そこに結構チャンスがあるなと思っています」

そこで、施工機能を持たない販売店が多いインドネシアでは、ダイキン専売のプロショップが販売だけでなく施工やメンテナンス、アフターサービスまでできる体制を構築。ベトナムでは、全国にサービス拠点を設置したり、先端技術を導入したベトナムの新工場にトレーニングセンターを併設したりして、協力店の技術者が施工やアフターサービスを学べるようにするなどサービス網の構築を急いでいる。施工からアフターサービスまでできる販売網をつくり上げ、それを住宅用から業務用まで拡大することでさらにビジネスチャンスが拡大する。

「うちの最も大きな強みは、『市場最寄化戦略』によって生産や開発、販売、サービスを本当の意味でローカル化をしていること。それを20年やってきたわけだから、そうそう簡単には負けへんと思っています」

こう話す峯野氏の笑顔には絶対の自信を感じさせた。単なる現地化とは一線を画すダイキンの「市場最寄化戦略」。そのこだわりこそが、アジアでの圧倒的強さを下支えしている。

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