「フランス第2の都市」と日本の意外な深い縁 リヨンが日本に猛アピールする理由

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パリに次ぐフランス第2の都市リヨンには、近年日本企業も続々進出している(筆者撮影)

インドの「クンブ・メーラ・ヒンドゥ」、ブラジル・リオ・デ・ジャネイロの「カーニバル」、ドイツ・ミュンヘンの「オクトーバー・フェスト」に次ぐ世界第4の祭りをご存じだろうか?

答えは、パリに次ぐフランス第2の都市、リヨンでクリスマス前に開催される「光のフェスティバル」である。1852年12月8日、市内にあるフルビエールの丘に聖母マリア像が建立されたのを祝おうと、リヨンに住む人たちがカラーグラスに入れたロウソクの火を窓辺に灯したのが始まりとされている。

パリに次ぐ都市かどうかは議論もあるが

光のフェスティバルには、期間中180万人が訪れた(筆者撮影)

昨年12月6日から9日まで開催されたフェスティバルでは、市庁舎や教会など歴史的建造物から広場まで町のあらゆる場所がライトアップされた。フェスティバルには、フランスだけでなく、世界各地から150人のクリエイターが参加。当初、フランスで毎週土曜日になると起こっていた大規模デモの影響が懸念されたが、開催中は180万人が訪れるほど大盛況だった。

フランスの南東部に位置するリヨン。ローヌ川とソーヌ川が流れる世界遺産の美しい街だ。フランスは中央集権国家とされるが、パリ、地中海に面した南仏のマルセイユ、そしてリヨンの3大都市は同国の法律で特別な地位を有している。地方制度改革の一環として2015年に「メトロポール・ドゥ・リヨン」が誕生。新たな地方公共団体として国から多くの権限を委譲された。リヨンはその中心都市である。

リヨンについては、「第2の都市」か否かをめぐって見方が分かれる。というのも、市の人口は約51万人で、パリ(同221万人)、マルセイユ(同86万人)に次いで3番目にとどまるからだ。ただ、「都市圏」のレベルで比べると、マルセイユの同175万人に対してリヨンは同229万人。それゆえ、多くのリヨン市民は、わが街こそが「パリに次ぐ大都市」と考えている。

リヨンは美食の街としても名高い。同地域出身の料理家、ポール・ボキューズは日本でもおなじみだ。『星の王子さま』を書いたサン・テグジュペリもリヨン生まれである。

だが、残念ながらリヨン自体の知名度はさほど高いとはいえない。「メトロポール・ドゥ・リヨン」のイノベーション、インテリジェント化推進などの担当助役、カリン・ドニャン・ソーズ氏も「多くの人がリヨンのことを知らない。知名度を高めるためのノウハウも不足している」などと指摘する。

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