日立、原発プロジェクト凍結は大英断なのか 国内原発メーカー3社の再編・統合へ鳴る号砲

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イギリスの原発凍結を決めて記者会見する日立の東原社長(撮影:尾形文繁)

日立製作所は1月17日、これまで進めてきたイギリスでの原子力発電所建設計画「ホライズン・プロジェクト」の凍結を正式に決定した。これにより、2019年3月期決算でホライズンに投じた費用など3000億円の特別損失を計上。当期の最終利益予想はこれまでの4000億円から1000億円に下方修正された。

日立は2012年にドイツの電力会社2社から原発開発会社ホライズン・ニュークリア・パワー社を892億円で買収。イギリス・ウェールズ地方の最北西にあるアングルシー島で2基の原発新設建設を進めてきた。

だが、世界的な安全基準強化や労務費の高騰により、原発プロジェクトにかかるコストが上昇。加えて、風力発電や太陽光発電などの再生エネルギーが普及し、ホライズンに適用される電力買い取り価格は当初の想定より低い水準になることが避けられなくなっていた。

原発ビジネスは経済合理性に合わない

原発事業について、従前より日立は2019年に最終投資判断を行うとしてきた。判断基準は「民間企業としての経済合理性」(東原敏昭社長)であり、現状100%出資であるホライズン社を非連結化することを最低条件としていた。

結局、プロジェクトの費用増と収入減(電力買い取り価格低下)から必要とする出資者を集めることができず、「意思決定をこれ以上延ばしても経済合理性に合うスキームはできない」(東原社長)として凍結を決断した。

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