2歳男児を殺害した26歳男の異常な生い立ち

問題多数起こす犯人擁護する両親への違和感

被害に遭った子どもたちが、自身の身に起きたことを理解したときのことを思うと、いたたまれない気持ちでいっぱいになる(写真:nixki/iStock)
すべての「家族」が仲良く手を取り合って暮らせるわけはない。なかには親子、きょうだい同士で激しく憎しみ合い、争いの末に裁判や事件にまで発展してしまう家族もいる。本連載では傍聴ライターとして長年活動し続ける高橋ユキが、裁判の傍聴を通じてわかった「現代の家族が抱える問題」を紹介します。


※本記事は、小児の性被害について詳細な記述を含んでおります。

保育の仕事に従事する者が、故意に子どもに危害を加えることは本来あってはならないことだ。多くの保育士やベビーシッターは預かった子の安全に配慮し、保育を行う。だが、自身の欲望を満たすために預かった子どもたちに危害を加えた保育者がいた。

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2014年3月、埼玉県富士見市の自宅マンションで、預かっていた横浜市の2歳男児を窒息死させたとして殺人罪などに問われていた物袋勇治(もって ゆうじ、当時26歳)被告。4年後の2018年9月10日、最高裁で懲役26年の刑が確定した。

幼少期から「奇行」が目立った物袋被告

物袋は2012年から個人でベビーシッター業務を請け負っていた。逮捕後の一連の裁判では、被害児童と一緒に預かっていた生後9カ月(当時)の弟に対しても適切な保育を行わなかったという保護責任者遺棄致傷罪、加えて、この兄弟を合わせて約20人の子どもらに対して衣服を脱がせ撮影などをしたという児童買春・ポルノ禁止法違反、うち9人の強制わいせつ、強制わいせつ致傷の罪で起訴されていた。

2016年に横浜地裁で開かれていた一審公判(裁判員裁判)で、物袋は起訴事実のほとんどを認めなかった。2歳児の殺人罪については「男児は風呂で溺れた」と語り、その弟への保護責任者遺棄致傷罪についても「適切な保育を行っていた」と否認。さらに強制わいせつなどについても「性的な意図はなかった」と主張していた。

被害に遭ったのはいずれも、生後4カ月から5歳までの乳幼児。物袋勇治はいったい、どんな人間だったのだろうか。

一審公判では、事件の動機を明らかにするうえで重要だと思われる物袋の家庭環境について徹底的に争われた。そこで浮かび上がってきたのは、物袋の両親が抱える「相反する気持ち」だ。証人として出廷した両親は事件発覚以前から息子の危険な性的嗜好にうすうす感づいていたにもかかわらず、彼の「性的な意図はなかった」という言い分を信じていたようだった。

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