事実婚が同性・多重婚と同列に語れないワケ

従来型の「結婚」にこだわることの不思議

だって考えてもみてよ。結婚というのは極めて不思議な制度じゃないだろうか。結婚してから増えたお金がだいたい半分、離婚のときに相手に持っていかれるなんて信じられます? 私は半分も持ってかれることがおかしいというよくある男寄りの議論を展開したいわけじゃない。お互いの貢献度に応じて……結婚生活の間の浪費を考慮して……何年間結婚が続いたらこの程度で……10の結婚があれば、10の事情があるだろう。いまどき、スマホだって、パソコンだってなんだって、商品を選んで、料金の支払体系を決めて、カスタムメイドして。なのに、人生のこれだけ大きな買い物を右へ倣(なら)えのデフォルト商品だけなんて信じられます?

ファーストフード店だっていろんなパックがあるじゃない? 「結婚フルパッケージ型」とか、「お財布は一緒、恋愛は別タイプ」とか、「最低限のシンプルプラン、選べるオプション制」とか、結婚だってせめてメニューくらい選ばせろと。それくらい言ったっておかしくないんじゃないかと思う。

それでさ、同性婚とか多重婚とかをやりたい人は、だから結婚の欲しいとこだけ特定して「これください、あ、それはいりません」ってやって、結婚の新しいメニューを作る絶好のチャンスでもあると思うのだ。それにもかかわらず、「従来の皆様がやってらっしゃる結婚と全く同じものをください」っていうのは、必ずしも使い勝手がよくない制度に自ら取り込まれようとすることではないか。

もちろん、社会からの承認という観点はわかりますよ。「あの家は普通の結婚じゃないのよ」なんて他の親からの意地悪なささやきで自分の子どもがいじめられるなんて考えただけでも嫌っていうのは分かる。でも、結婚という形で国家にお墨付きをもらうことだけが、社会から認められる方法ではないのじゃないかと。難しいことかもしれない。私は当事者の苦しみを知らずにあまりに無責任なのだろう。だけど、新しい家族の在り方を思いっきりかっこよく生きればいいと思う。理由のない陰口を言われても、家族がそろってオシャレな格好でお出かけでもして、とびっきりに楽しそうならば、そのライフスタイルは「普通じゃない」ものから「クール」なものへと変わっていくだろう。「差別しないでくださーい。いじめないでくださーい」と学校の先生から再三の注意を受けるよりも、「いや、この子、なんか楽しいやつじゃん、いいやつじゃん」となるほうが、よっぽど自然にクラスに馴染(なじ)めるのじゃないだろうか。

と、ここまで書いたところで、うちの母が「もうそろそろ誰も紹介してもらえなくなるわよ」とダメ押ししてきた。分かりましたよ。言い返すよりも楽しそうにしたほうが効果あるかもと謎のにやけ顔。この時代に生きる私たちは皆「結婚」という既成の概念とそれぞれがそれぞれのやり方で闘っていかなくてはいけないのかもしれない。

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